『ルイスと不思議の時計』ジャック・ブラック、ファミリー映画への挑戦が転機に
ジャック・ブラック主演の『ルイスと不思議の時計』は、鬼才イーライ・ロスが演出を手掛けた、ハロウィンシーズンにぴったりのファンタジー映画だ。出演オファーをすぐに快諾したというジャックが、全米で約2,660万ドル(約29億円)のオープニング興収を上げ、ナンバーワンヒットを記録した本作について語った。(数字は Box Office Mojo 調べ、1ドル110円計算)
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ジャックが演じるのは、不気味な屋敷に住み、両親を亡くした10歳の甥ルイスを預かることになる中年男で、実は魔法使いのジョナサン。「簡単な決断だったよ。ケイト・ブランシェットにイーライ・ロス監督だからね。ジャズ好きのエキセントリックな魔法使いといえば僕だよ。僕はいつも魔法のパワーがほしかったけど、マーベルはなんの役もオファーしてこない。これは僕が火の玉を投げつけるパワーを持てるチャンスだったんだ」と笑みを浮かべる。
ケイト・ブランシェットはジョナサンの隣人である魔女ツィマーマンを演じており、ジャックとの矢継ぎ早のやりとりがとても可笑しい。しかしジャック自身は、オスカー女優ケイトとの初共演に、最初少しナーバスになったそうだ。
「でも撮影の初日、ケイトは僕に『私たち、楽しい時間を過ごすのよね?』と言ったんだ。彼女はよく重くて深刻な役どころを演じているけど、この映画では楽しもうとしていたんだよ。僕も一気にリラックスできた。彼女はパーティーを望んでいる。クレージーになって、僕と遊びたいんだと思ったからね。それからは、僕らはただの2人の『オバカさん』になったよ(笑)」
一方でジャックは、R指定のホラー映画で知られるロス監督がファミリー映画を撮ることには、「不安よりも興奮を覚えた」と語る。「僕は『スクール・オブ・ロック』で同じような経験をしたからね。その頃、僕はとても冒涜的なバンド(テネイシャスD)をやっていたんだけど、ファミリー映画をやるにあたって、悪い言葉を使わずに、他の方法で良い仕事をせざるを得なくなったんだ。結果的に、僕にとって最高の仕事の一つになった。今回はイーライにとって、同じような機会になると感じたんだ。血みどろにせずに、人を驚かせる方法を見つける、という意味でね」
世界を救うため、屋敷に隠された時計の謎を探るルイスたちの奮闘が描かれる本作だが、ジャックが大好きな場面は、映画の前半でジョナサンがルイスに魔法の手ほどきをするシーンだという。「ジョナサンがルイスに『ユニバースの中で自分は自分だけしかいない』と話すシーンがあるんだ。巨大な宇宙の中で、個人というものを大切にするということ。ユニークに自分らしくあることが、物語の鍵となる。素晴らしいテーマだと思うよ」(取材・文:吉川優子)
映画『ルイスと不思議の時計』は10月12日より全国公開