三田佳子、京都国際映画祭に出席 『遠き落日』撮影秘話を語る
女優の三田佳子が11日、京都で開催中の「京都国際映画祭2018」内で上映された主演映画『遠き落日』の舞台挨拶に登壇した。
本作は、細菌学の権威として知られる野口英世の生涯を、彼を支えた母・シカとの絆を通して描いた感動作。渡辺淳一の同名小説を新藤兼人が脚色し、神山征二郎監督がメガホンを取り、1992年に公開された。三田は息子を温かく支えるシカを熱演し、日本アカデミー賞最優秀主演女優賞などを受賞した。
スクリーンでの上映は約26年ぶり。映画祭アンバサダーを務めている三田は、先に行われたオープニングセレモニーでも「自分の芝居の熱をみなさんに改めて観ていただけることがとても嬉しいです」と喜びを爆発させており、舞台上でも満面の笑みで観客に挨拶。「16歳から亡くなるまでを演じるという、女優として滅多に出会えないこの役柄を演じられることがとても嬉しくて、絶対に演じたかった。この世に生きる人は、母から生まれている。その意味の感動がとてもすごかった。この作品で、明治に生きた女性が博士を作り出したことへの凄さを感じました」と振り返った。
また、当時の撮影について「老母を演じる際に特殊メイクを施したことで、涙を流すシーンでは皮膚の感覚がなくて本当に大変だったんですが、何度も何度も演じさせていただいたことを覚えています」と告白。三田と共に登壇したプロデューサーの奥山和由は、「三田さんは、お芝居の中でも冷たい湖の中でどじょうを掴むシーンも胸元まで浸かって全部自分で演じられた。ご主人からそこまでやらせるのかと怒られるくらいでした」とその女優魂を絶賛していた。
セレモニーでは「この場に立って、清らかに、落ち着いた気持ちにさせていただいています。個人的にも、三田佳子として、女優として、これからもやっていけるのではないかと思えました」と貫禄の挨拶をした三田。母として私生活での試練が続いていることで、この日も多くのマスコミが詰めかけていたが、終始笑顔で女優人生への覚悟を見せていた。(取材・文:森田真帆)
「京都国際映画祭2018」は10月11日~14日まで、よしもと祇園花月、T・ジョイ京都、TOHOシネマズ二条、イオンシネマ京都桂川、大江能楽堂ほかで開催