深作欣二監督への愛があふれる!ゆかりのゲストが京都国際映画祭でトークショー
映画プロデューサーの奥山和由と鍋島壽夫、中島貞夫監督が13日、京都で開催中の「京都国際映画祭2018」の特集上映、深作欣二監督特集のトークショーに登壇した。
本特集は、昭和から平成にかけて日本映画界の第一線で活躍した深作監督の名作『仁義の墓場』『北陸代理戦争』『いつかギラギラする日』を35mmで上映する貴重なイベント。
深作監督に憧れて映画業界に飛び込んだという奥山、奥山の戦友であり、深作監督とは映画『いつかギラギラする日』で億単位の大赤字を叩き出し、その後に大ヒット映画『バトルロワイヤル』をつくりあげた鍋島、そして兄貴分である深作監督を「サクさん」と慕い、『北陸代理戦争』のほか数多くの映画をともに生み出した中島監督。深作監督と深い縁のあるゲストたちが揃ったトークショーでは、深作監督への愛情があふれ出した。
この日上映された『いつかギラギラした日』の撮影について奥山と鍋島は、「台風の被害なんかでロケは延期になってどんどん予算がなくなるなか、ラストのカーアクションで壊しちゃいけない車も全部ぶっ壊しちゃって大赤字。出ている役者も萩原健一、木村一八と『いわく付き』が揃って現場はハチャメチャなんです。それに深夜作業組と言われていただけあって、深作監督は全然寝ないで撮り続けるから、あのショーケンが心配するほどでした」と述懐した。
それだけ大変な撮影現場にもかかわらず、彼らが深作監督に惹かれたのはその人間力だ。奥山は「とにかくイイ男でかっこよかったんです。すごく優しい人で。僕が『いつかギラギラした日』があまりにも大変で、やめるかどうかを悩んだ時も朝の5時ごろに電話をかけてきて『やめるなよ』って。そんな人なんです。撮影は大変だけど、絶対に逃げないし、必ず責任を取ってくれる男気があった」と話し、中島監督は「彼のものを作る姿勢というのは強烈でした。撮影の時は確かにめちゃくちゃするし、手伝っているこっちは腹もたつんだけどどうしても憎めない。やんちゃさがサクさんの魅力だったんです」とニッコリ。鍋島も、「深作監督は茨城出身なんですが、水戸弁が抜けなくて。本人も水戸浪士のよう。ご自身も、作品もきちんと筋が通っているんです」と語り、深作監督の人間らしい魅力が伝わる言葉が止まらなかった。
映画『仁義なき戦い』では、容赦なき暴力描写を観客に叩きつけた深作監督。その素顔はとても人間的で、そしてとことんかっこいい男だった。この日35mmフィルムで上映された3本の名作からはスクリーンを通して深作監督が映画に込めた熱量が今もなお伝わってきた。(取材・文:森田真帆)