ウィレム・デフォー、画家ゴッホを演じた話題作を語る
ニューヨーク映画祭でクロージングナイト作品に選ばれた話題作『アット・エターニティズ・ゲート(原題)/ At Eternity’s Gate』について、ウィレム・デフォー、オスカー・アイザック、ルパート・フレンドそして、 ジュリアン・シュナーベル監督が、10月12日(現地時間)、ニューヨークのリンカーン・センターにあるウォルター・リード・シアターの記者会見で語った。
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本作は、後期印象派を代表するオランダ出身の画家フィンセント・ファン・ゴッホ(ウィレム)が、1886年にパリに移住した後、画家ポール・ゴーギャン(オスカー)と、南仏アルルで共同生活していた時代を描いた作品。映画『バスキア』『潜水服は蝶の夢を見る』のシュナーベル監督がメガホンを取った。ルパートは、ゴッホの弟テオを演じている。
シュナーベル監督とは長年の付き合いだというウィレム。監督のセットでの演出について、「朝セットを訪れると、ジュリアンとクルーと俳優たちがいて、それぞれが内容を把握しながら、撮影の準備を進めているんだけど、いざ撮影に入るとすぐに撮り終えてしまうんだ。その日の撮影がランチ前に終わってしまうこともあって、残りの時間を散歩しながら過ごしたり、絵を描いたりしたこともあったくらいだよ。しっかりとした構成で撮影されていつつ、たまに気を緩めることもできた。それってすごく特別なことなんだ」と振り返った。実際にゴッホが住んでいた場所などで撮影したことが、キャラクターを構成する上で非常に役に立ったそうだ。
ゴーギャンを演じたオスカーは、ゴッホについて「彼は死後に突然、天才と評価されたものの、彼があの時代に理解されなかったのは、あの時代の流行に合っていなかっただけかもしれないよね。彼の創造と狂気の共存は、僕らのような人間には、とても謎めいたものだったのかもしれないけれど、彼自身が望んでいることや、彼自身のビジョンについては、見せかけではなく本物だったと思うんだ」と自身の見解を語った。
今作に出演している俳優陣のほとんどは、以前から知っていたというシュナーベル監督。だが、ゴッホの支援者であり理解者でもある弟のテオ役のルパートだけは違っていたそうだ。「テレビシリーズ『HOMELAND』を観て、彼は素晴らしいと思ったんだ。彼とは最初に、テオのせりふが少ないことを話し合ったよ。でも僕自身は、テオは(療養所や病院などにいる)ファン・ゴッホのもとを訪れ、その場で感情的になることで、あまり言葉を発する必要がないと思っていたんだ。実際にルパートは、いかにテオが兄を愛していたかを、テオを通して体現してくれた。素晴らしかったよ」と評価した。一方、ルパートは療養所での撮影について、「実際に医者や看護師、患者を招いて、彼らをシーンの一部として撮影していたんだ」と明かし、とてもスリリングだったと振り返った。(取材・文・細木信宏/Nobuhiro Hosoki)