『サスペリア』リメイク版は長年の夢だった、監督が明かす
ホラー映画の巨匠ダリオ・アルジェントの傑作をリメイクした新作映画『サスぺリア(原題) / Suspiria』について、ルカ・グァダニーノ監督が10月19日(現地時間)、ニューヨークのAOL開催イベントで語った。
本作は、1977年、ドイツのベルリンにあるバレエ・アカデミーにやってきた若手アメリカ人ダンサーのスージー(ダコタ・ジョンソン)が、マダム・ブラン(ティルダ・スウィントン)率いる同アカデミーで厳しい練習を行う中で、アカデミーに関わった人たちの奇妙な失踪によって、アカデミーに秘められた謎の歴史を知ることになるというストーリー。映画『君の名前で僕を呼んで』のグァダニーノ監督がメガホンを取った。
オリジナル映画を鑑賞したのは14歳のときだというグァダニーノ監督。「親からは禁じられていたんだけど、両親が他の部屋にいるときに、ベッドルームで鑑賞したんだ。始まって5分で心臓を刺すシーンがあって、禁制とされたもの(映像)を自由に描くダリオの演出に、(監督としての)力を与えられた気がしたね。あのときから、いつか僕バージョンの『サスペリア』を作るぞ!と監督としての目的を持ったと思うんだ」と長年の思いを明かした。2007年に共同プロデューサーと共に、ダリオ&クラウディオ・アルジェントに声をかけ、映画の版権について説得したが、当時は『ミラノ、愛に生きる』を手掛けており、準備ができなかったのだそうだ。
グァダニーノ監督と脚本家デヴィッド・カイガニックとの間では、脚色するにあたり、(オリジナル映画と同様に)1977年のドイツを舞台にすることを基盤にしていたという。「オリジナル映画を観たときは、(リメイク版では)いつの時代にも、どこの場所にも設定することができるとも思ったけれど、あの作品は時代を反映しているんだ。当時のベルリンは、怒りと暴力に満ち溢れていた。だから、新たな『サスペリア』を手掛ける上でも、オリジナル映画の時代とあの場所が良いアイデアだと判断したんだ。そして、オリジナル版よりも、よりパーソナルな作品にしようと考えたんだ」。
『胸騒ぎのシチリア』以来、再びタッグを組んだダコタについては、「彼女はとてもシャープで、大胆になれる能力も兼ね備えている。かわいらしいタイプではないが、演じているときはタフで、それが僕は気に入っているんだ」とグァダニーノ監督。ダコタの鬼気迫る演技にも注目だ。(取材・文・細木信宏/Nobuhiro Hosoki)