綾瀬はるか、6年ぶり大河で歌唱シーンも ポジティブな女性像に共感
2019年放送の大河ドラマ「いだてん~東京オリムピック噺(ばなし)~」で中村勘九郎演じる金栗四三(かなくり・しそう)妻・春野スヤを演じる女優・綾瀬はるか。大河ドラマは2013年に主演を務めた「八重の桜」以来、約6年ぶりとなるが、綾瀬ならではの大河ドラマの魅力やスヤという女性への思いを語った。
綾瀬演じるスヤは、熊本の医師の娘で、村一番のハイカラなお嬢様。幼なじみの金栗に好意を抱き、思い悩む金栗を太陽のような明るさで包み込む女性だ。台本を読んだ綾瀬は「とにかくまっすぐで凛とした佇まい。とても元気でいつも唄を歌っているような女性」という特徴をつかんだ。
どんなに悲しい出来事があっても明るく前向き。特技は、明治時代末期の自転車ブームから流行り始めたハイカラ唄「自転車節」。劇中でも、ことあるごとに綾瀬の歌が披露されるというが、「状況によって歌い方が違うんです」と見方を指南。なかでも踊りながら歌ったり、走りながら大声で歌ったりするシーンは「スヤさんという人物が最もよく出ている場面だと思います」と語る。
底抜けに明るいスヤは綾瀬のパブリックイメージと重なる部分があるように思われるが、自身でも「元気なところとか、割と思ったら突き進む部分は似ているかも」と共感する部分は多いという。また「宮藤(官九郎)さんの脚本は、悲しい場面でもポジティブに笑いに変えてしまうところがあるんです。重々しくならないぶん、ジーンときてしまうことも多い」と言い「テンポとノリの良さ、そしてしんみりのバランスがいい」と次の話の脚本が来るのを心待ちにしているのだとか。
綾瀬にとっては約6年ぶりの大河ドラマとなるが「現場が大好きで、NHKさんに通うのが楽しみだったので、またこうして参加できるのはうれしい」と満面の笑み。“平成最後”かつ2020年の東京オリンピックへの橋渡し的な位置づけの作品であることには「節目らしい題材。宮藤さんの脚本がとても楽しく、心が温まる作品になると思います」と期待を込めていた。
飛び飛びながら撮影はすでにスタートしているというが「『八重の桜』のときと同じスタッフさんもたくさんいるので、気心が知れているのは心強いです。また大河ドラマのセットは本当に素晴らしいので、すごい環境のなかでお芝居ができることにも胸が躍ります」と目を輝かせる。
撮影前には熊本に赴き、スヤのモデルとなる女性の娘さんにも面会した。その際、話を聞いて「とにかく元気でパワフル、お亡くなりになるギリギリまでお酒を飲んで、自転車節を歌っていた。みんなの中心にいるポジティブな女性」という印象を強く受けたそう。
こうした特性を意識してスヤ役に挑む綾瀬。ポジティブなキャラクターをさらに印象付ける“熊本弁”にも注目だ。「基本的に熊本弁はかわいい。何を言っても目に浮かぶというか、入ってきやすい。イントネーションが難しいので、先生に細かく教えてもらいながら何とかやらせていただいています」
「登場人物がみなさん個性的かつ信念を持っているので面白い」と見どころを語る綾瀬。笑えて胸が熱くなり、そして「また明日から頑張ろう」と前向きになれる大河ドラマ。2019年の日曜の夜、新たな大河ドラマの歴史の幕開けとなりそうだ。(取材・文:磯部正和)
大河ドラマ「いだてん~東京オリムピック噺(ばなし)~」は1月6日より放送(NHK総合20時~ほか)