村上虹郎『銃』で鬼気迫る演技 父・村上淳と共演も
公開中の映画『銃』で主演の村上虹郎が、銃に魅了された青年役で鬼気迫る演技を見せている。
『去年の冬、きみと別れ』『悪と仮面のルール』などで知られる作家・中村文則のデビュー作であり新潮新人賞を受賞した同名小説を映画化した本作は、思いがけず拳銃を拾った大学生の西川トオル(虹郎)が、拳銃に魅せられていくさまをノワール調で描く。トオルの同級生・ヨシカワユウコ役を広瀬アリス、紛失した銃を探す刑事役をリリー・フランキーが務めている。
同作で虹郎ふんするトオルは、普通の大学生として生きていたが拳銃により攻撃的な本能をむき出しにしていく。拾った拳銃を家で大事に保管していたが、家の外に持ち出すように。拳銃のことばかり考えてしまうトオルはついに「実際に拳銃を撃ってみたい」という気持ちになる。
虹郎は、無気力でどこか気だるそうにしていたが拳銃を手にして徐々に心を乱していくトオルを熱演。目がギラつき、抑えきれない感情を必死に隠しながら警察官(後藤淳平)に挑発的に話しかける姿などは、狂気に魅せられており「いつか誰かを打ってしまうのでは」と緊張感を与える。この演技で村上は、第31回東京国際映画祭の「東京ジェムストーン賞」を受賞。今作の奥山和由プロデューサーは、3年前の同映画祭で虹郎と会ったとき、「横柄なため口で『奥山さん』と声をかけられたときに、『銃』の主人公がここにいると思った」とイベントで答えるほどイメージがピッタリだったという。
ちなみに、ある場面でトオルと対峙するオッサン役を村上の父親である村上淳が担っている。虹郎は俳優ビュー作『2つ目の窓』(2014)で父・淳と初共演。それから4年経ち、親子で対峙する役どころについて、淳は「正直“親子共演”ということを意識しないかというとそうはいかない」とコメントしている。ともに演技で高い評価を得ている2人による、親子の関係をこえた役者同士としての競演に期待が高まる。(編集部・梅山富美子)