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ロバート・ダウニー・Jrの転機!『トロピック・サンダー』公開から10年

『トロピック・サンダー』のロバート・ダウニー・Jr 同時期に『アイアンマン』で社長やってます
『トロピック・サンダー』のロバート・ダウニー・Jr 同時期に『アイアンマン』で社長やってます - Photofest / DreamWorks / ゲッティ イメージズ

 22日、俳優ベン・スティラーが監督・製作・脚本・主演を務めたコメディー『トロピック・サンダー/史上最低の作戦』(2008)の日本公開から10年が経った。年月を経ても色あせない傑作コメディーであるだけでなく、大スター、ロバート・ダウニー・Jrの転換期にあたる一本でもある。

【画像】トム・クルーズがハゲ頭のパワハラプロデューサーに!

 本作は、戦争映画の撮影現場を舞台に、映画愛とブラックジョークをこれでもかと詰め込んだドタバタ劇。戦争大作“トロピック・サンダー”での返り咲きを目指す、落ち目のアクション俳優スピードマン(ベン)が、予算超過で撮影中止の窮地に立たされた監督によって、共演者もろとも、本物の危険地帯に送り込まれるさまが描かれる。

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 スピードマンと戦場に突入する共演者は、ジャック・ブラックふんする下ネタ専門のコメディー俳優ジェフ、黒人ラッパーのアルパ・チーノ(アル・パチーノではない)、冴えない新人俳優ケヴィンなど、一癖も二癖もあるメンバーばかり。そのなかでも特に異彩を放っているのが、ロバートが演じた、やりすぎ名優のラザラスだ。

 ラザラスは、過去に5度もアカデミー賞を受賞しているオーストラリア出身の超演技派。劇中劇である“トロピック・サンダー”でも「役づくりのため整形手術で黒人になる」ほど役に入れ込んでしまう名優だが、粗暴なふるまいのせいで、私生活ではトラブルが絶えない。同じくオーストラリアを拠点とする演技派で、やはり短気で有名なラッセル・クロウをほうふつさせるキャラクターだ。

 同時に、ラザラスを演じるロバート自身も、演技派俳優として高く評価されながら、薬物問題などトラブルにまみれた俳優だった。幾度も逮捕され、もはやキャリア再浮上は無理かと思われころに出会ったのが、自らをパロディーにしたようなラザラス役。違和感のある黒人なまりのセリフも見事なもので、その芸辰者ぶりが評価されたロバートは、ゴールデン・グローブ賞男優賞(コメディー/ミュージカル部門)を受賞。さらにアカデミー賞助演男優賞ノミネートも果たしている。

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 くしくもこの年、もう一本、ロバートにとって転機となった映画『アイアンマン』が公開されている。同作でロバートが演じた巨大軍需産業の社長トニー・スタークは、自社の兵器が世界平和の妨げになっていることを知り、償いのため、自ら開発したパワードスーツでアイアンマンとなる。それからの10年におけるロバートの大活躍は言わずもがな。自身の人生を投影したような、この2役と出会ったおかげで、彼のキャリアは復活を遂げたといえるだろう。

 ちなみに『トロピック・サンダー』では、もう一人の大スターも株を上げている。それがトム・クルーズだ。本作でトムは、ハンサムなイメージとはかけ離れた強欲な映画プロデューサー、レス・グロスマンを熱演。出っ張ったおなかに薄い頭、毛むくじゃらという強烈なビジュアルでパワハラ発言を連発する役は、エンドロールのダンスシーンも含め、大評判となった。

 当時のトムは、2005年のテレビ番組でソファーで飛び跳ねながら当時の妻ケイティ・ホームズへの愛を叫ぶ行動がバカにされ、人気シリーズ最新作『M:i:III』(2006)の成績も期待ほどふるわず終わるなど、評価が下がり気味。しかし『トロピック・サンダー』では、カメオと言ってもいい出演時間ながらゴールデン・グローブ賞助演男優賞にノミネート。現在もアクションスターとして大活躍している。

 もちろん、彼らに強烈な役をあてがい、キャストもそれを喜んで演じるほどの信頼を得ている、監督ベン・スティラーの才能も称賛されるべきところ。冒頭から映画パロディーが詰まった、改めて見直したいまさに不朽の名作だ。(編集部・入倉功一)

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