『スパイダーマン:スパイダーバース』主演声優らが制作秘話を明かす
アカデミー賞長編アニメ映画部門の候補の一つとして注目されている『スパイダーマン:スパイダーバース』(2019年3月8日 日本公開)について、声優を務めたシャメイク・ムーアとジェイク・ジョンソンが、12月10日(現地時間)、ニューヨークのAOL開催イベントで語った。
ピーター・パーカーが主人公だったこれまでの実写作品とは異なり、ブライアン・マイケル・ベンディスとサラ・ピシェリが創作した黒人の中学生マイルス・モラレスを主人公に据えている本作。そのストーリーは、マイルスが時空がゆがめられたことによってさまざまな次元で活躍する複数のスパイダーマンたちと共に、新たな敵と戦っていくというもの。マイルス役にシャメイク、ピーター役にジェイクが挑戦し、ボブ・ペルシケッティ、ピーター・ラムジー、ロドニー・ロスマンの3人がメガホンを取った。映画『LEGO(R)ムービー』のフィル・ロードとクリストファー・ミラーが製作を担当し、フィルは脚本も執筆している。
マイルスの声を務めたシャメイクは、今作のオーディションについて「製作者フィルとクリストファーは、僕が出演した映画『DOPE/ドープ!!』を観てくれていて、このマイルス・モラレスという役に僕がどんな演技をもたらすことができるか興味を持っていたみたいなんだ。だから、テレビシリーズ『ゲットダウン』の撮影中に、電話でオーディション用の声を送ったんだ。それから6、7か月たって、ようやく彼らから連絡があったよ」と振り返った。これまで実写版を含め数多くの「スパイダーマン」が描かれてきたが、批評家や鑑賞したファンが、今作が『スパイダーマン』シリーズのベスト作品であると評価していることに感激したそうだ。
一方、ピーターの声を務めたジェイクは、ストーリーが素晴らしいと称賛する。「僕たちが知るこの時空でスパイダーマンとなったピーターは、クイーンズ出身で、クモに刺されて特別なパワーを手に入れる。けれども今作で彼はマイルスのいる別の時空に入り込んでしまうんだ。するとマイルスの時空では、マイルスはスパイダーマンになる術を学んでいて、ピーターはある意味、マイルスの良き師になっていくんだ。さらに素晴らしいのは、別の時空のスパイダーマンも登場していて、その中には初の女性となるスパイダーグウェンもいるんだ」ちなみに今作でピーターは40代の設定になっていて、おなかも少し出ていたりする。
また、フィルが書いた脚本についてジェイクは「実は、僕は脚本全部を渡されていなかったんだ。家に持って帰って読むことのできる脚本さえもなかったくらいだよ。レコーディングのブースに入って、自分が登場するシーンだけを脚本で渡される。シーンとシーンのつながりを通してピーターの観点でようやく理解できたんだ。だから、ピーターが登場しないマイルスのシーンは読んでいないんだ。それ(ピーターの部分だけ)でも、脚本は素晴らしかったんだ」と絶賛した。(取材・文・細木信宏/Nobuhiro Hosoki)