フレディ役の降板、監督クビ…『ボヘミアン・ラプソディ』完成までの8年
クイーンのボーカルであるフレディ・マーキュリーの半生を描き、世界で大ヒット中の映画『ボヘミアン・ラプソディ』。しかし、完成に至るまでは8年にわたる紆余曲折があった。
もともとは2010年に『ボラット 栄光ナル国家カザフスタンのためのアメリカ文化学習』などのサシャ・バロン・コーエンが主演を務めることが発表され、製作が進められていた本作。ところがなかなか撮影は始まらず、2013年にサシャは映画における方向性の違いを理由に降板したことが明らかになった。
その後、『007』シリーズのQ役などで知られるベン・ウィショーがフレディを演じると報じられたこともあったが、これも実現せず。2016年11月にようやく、ドラマ「MR. ROBOT/ミスター・ロボット」で注目されたラミ・マレックが主演することが明らかになった。スタジオは当初ソニー・ピクチャーズだったが、20世紀フォックスに移った。
監督も『X-MEN』シリーズのブライアン・シンガーに決まり、これで軌道に乗るかと思われたが、撮影残り2週間ほどのところでシンガー監督が現場に来なくなったとして、クビになったことが発覚。主演のラミとの確執も伝えられたが、監督はこれを否定。真相は当事者のみ知るところだが、自身と家族の健康問題が理由だったものの、フォックスに認められなかったと主張した。
シンガー監督が来なくなってからは撮影監督のニュートン・トーマス・サイジェルが代理を一時務めたが、その後、もともとシンガー監督の前に監督候補だった『サンシャイン/歌声が響く街』のデクスター・フレッチャーがメガホンを引き継いだ。
本作に音楽総指揮として参加しているクイーンのギタリスト、ブライアン・メイはクラシック・ロック誌のインタビューで製作過程を振り返り、「何度も完成しないのではないかと思う瞬間があった。本当にトラブルだらけだったけれど、人生とは時にそういうもの」とコメント。
「映画はクイーンの歴史を忠実に描いている。われわれクイーンも平坦な道ではなかった。でも困難は人を強くする。それは映画も同じ。(完成までの紆余曲折も)素晴らしかったとだって言えるよ」と前向きに語っている。(編集部・中山雄一朗)