米リメイク版『最強のふたり』話題の主演俳優が語る
世界中で大ヒットしたフランス映画『最強のふたり』の米版リメイク作品『ジ・アップサイド(原題)/ The Upside』について、主演ケヴィン・ハートが、1月9日(現地時間)ニューヨーク・インスティテュート・オブ・テクノロジーで行われた特別試写前のQ&Aで語った。
刑務所を出所したばかりの黒人デル(ケヴィン)は、ある日、体の不自由な白人の富豪フィリップ(ブライアン・クランストン)の気まぐれな決断で、彼の介護をすることになる。ところがデルには介護経験がなく、彼の雇用に反対するフィリップのアシスタント、イヴォン(ニコール・キッドマン)や疎遠な関係の元妻と息子に悩まされる日々が始まる。映画『ダイバージェント』『リミットレス』のニール・バーガーがメガホンを取った。
これまで多数のコメディー作品に出演してきたケヴィン。共演者のブライアンとニコールについて「ブライアンは僕がこれまで共演した俳優の中で、ずばぬけて一番うまい演技をする俳優だ。本当に才能のある俳優で、どんなに異なった役柄でも、自分自身のものにしてしまうのがすごいね。ニコールは、彼女の映画の経歴が演技力を物語っていると思うよ。僕自身は、興奮して彼らの演技に目移りしっぱなしだったんだ。彼らは演技が素晴らしいだけでなく、コメディアンである僕のために、エゴを出さない環境作りをしてくれていたよ。だから、彼ら二人の前でもおびえることはなかったね。ただ、今回のような(共演できる)機会が与えられたなら、積極的な姿勢を見せ、しっかりとした準備をしなければならなかったよ」と明かした。
本作を通して観客に感じてほしいことを聞かれると「見た目や先入観だけで物事を判断せずに、一人一人の人間を理解してほしいね。今作では、共に時間を過ごすことのないような二人が、時間を共有することによって、(知らなかった世界を)お互いが学ぶ。それによって、自分自身の意見が変わることもあるし、人へのアプローチの仕方も変わることもある。二人の男が異なった世界を知ることで、お互いが成長するんだ。ちなみにタイトルの『The Upside』は上昇傾向を意味する。だから、今日のわれわれが体験しているアメリカの政治状況でも、少し我慢しながら、何が起きているか把握して、われわれ自身も成長しなければいけないと思っているよ」と彼なりの見解を語った。
映画では、デルは体の不自由なフィリップの世話をしながら、自分の息子との関係を修復していこうとする。実生活でも子供がいるケヴィンは、どのようにして仕事と家族の関係を保っているのだろうか。「男には素晴らしい女性が必要なんだ。僕が映画の撮影やスタンドアップコメディーのツアーで家を空けているときには助けが必要だし、自分一人では子供の面倒を見ることができないからね。ただ、僕自身もできる限り、子供のために時間を作ってやる必要があると思っているよ。だから、夕方の6時から子供が寝る10時くらいまでは、極力、彼らのために時間を割いているんだ。でも、大人として自分自身の目標もあって、そのために仕事に打ち込んでいる姿もしっかりと子供には見せなければいけない。結果的に、それも子供のためなんだ」と笑顔で答えた。(取材・文・細木信宏/Nobuhiro Hosoki)