ユーリー・ノルシュテインの未完作『外套』の内幕に迫るドキュメンタリー、3月公開
『霧の中のハリネズミ』などで知られるロシアのアニメーション作家ユーリー・ノルシュテインの未完の新作『外套』の内幕に迫るドキュメンタリーが、3月下旬より公開されることが決定した。『ユーリー・ノルシュテイン《外套》をつくる』のタイトルで、都内シアター・イメージフォーラムほか全国で順次公開予定。
漫画家の故・手塚治虫さん、映画監督の宮崎駿さん、故・高畑勲さんら日本の巨匠たちからもリスペクトを受ける巨匠ノルシュテイン。新作アニメ『外套』は、帝政ロシア時代のサンクト・ペテルブルグを舞台にしたニコライ・ゴーゴリの同名小説が原作。生活を切り詰めて新しい外套を得た下級役人のアカーキー・アカーキエヴィッチが、ある夜、追いはぎにその外套を盗まれたことから失意のうちに死亡。幽霊となり、夜な夜な盗まれた外套を探し求める……というストーリー。
かれこれ30年以上の歳月をかけて製作するも、いまだ完成に至っていないノルシュテイン監督。2016年6月、ノルシュテインと古くから交流のある才谷遼監督率いるクルーが、モスクワにあるノルシュテイン・スタジオ“アルテ”を訪問。『外套』はいつ完成するのか、なぜ『外套』なのか？ 未完の映像を織り交ぜながら、悩める巨匠の姿を映し出す。
予告編映像では、ノルシュテイン監督が撮影が中断していることについて「この30年、『外套』のことだけを考えてきた」と複雑な胸の内を明かす姿が。スタジオ内にはおびただしい数のスケッチ、キャラクターパーツ、埃をかぶった撮影台があり、彼が「最良の一枚」と自信をみせるスケッチも見られる。（編集部・石井百合子）
映画『ユーリー・ノルシュテイン《外套》をつくる』は3月下旬、シアター・イメージフォーラムほか全国順次公開