前衛映画の巨匠ジョナス・メカスさん死去 96歳
米前衛映画の巨匠ジョナス・メカスさんが、1月23日(現地時間)にニューヨーク・ブルックリンの自宅で亡くなった。96歳。アンソロジー・フィルム・アーカイブスが発表した。
メカスさんは、1922年リトアニア生まれ。第2次世界大戦時、1940年にリトアニアはソ連に編入され、ナチス・ドイツの侵攻により故郷を追われたメカスさんは、ウィーンやデンマークなどで暮らした後、1949年に弟と共にアメリカに亡命。渡米後すぐに16ミリカメラを得て、身辺の映像を記録したアヴァンギャルドな映画の上映を行い、1954年に弟と映画雑誌フィルム・カルチャーを創刊。1961年に映画『ガンズ・オブ・ザ・ツリーズ(原題) / Guns of the Trees』で監督デビューした。
その後、リビング・シアター上演の舞台を記録した映画『営倉(原題:The Brig)』(1964年)がベネチア国際映画祭の最優秀ドキュメンタリー賞を受賞。また実験映画を保管・上映するためにアンソロジー・フィルム・アーカイブスを設立。さまざまな活動を通して、アンディ・ウォーホルさん、ジョン・レノンさん、アレン・ギンズバーグさんらと交流もあった。
2000年には、過去30年間の身辺記録を基にした『歩みつつ垣間見た美しい時の数々(原題:As I Was Moving Ahead Occasionally I Saw Brief Glimpses of Beauty)』を公開。2000年以降も新たなビデオカメラやスマートフォンを駆使して撮影していたという。(細木信宏/Nobuhiro Hosoki)