スティーヴン・ユァン『バーニング』映画とドラマの違いに衝撃
2月1日より公開され、韓国映画ファン以外の層も取り込む好調な滑り出しを見せている村上春樹原作の映画『バーニング 劇場版』。本作は原作を大幅にアレンジしていることでも話題だが、昨年末にはNHKで映画よりも尺が約50分短いドラマ版(日本語吹替え)が放送されており、そのドラマ版との編集の違いもまた見どころとなっている。
映画では、原作の短編小説「納屋を焼く」の舞台を日本から韓国に置き換えたほか、主人公の設定も既婚の小説家から作家志望の独身青年に変更。原作では主人公=「僕」、その友人=「彼女」、秘密の趣味を持つ青年=「彼」と記され、映画版では主人公ジョンス(ユ・アイン)及びヒロイン・ヘミ(チョン・ジョンソ)と、青年ベン(スティーヴン・ユァン)の境遇の違いから、韓国の格差社会が透けて見えてくる。メガホンを取ったのは、『オアシス』『シークレット・サンシャイン』などのイ・チャンドン監督。
本作は、もとはNHKが「アジアを代表する映画監督たちと、村上春樹の短編小説の映像化に挑戦」するプロジェクトの第1弾として制作。映画は148分、ドラマは95分に編集されている。昨年末、本作のキーパーソンであるベンを演じたスティーヴン・ユァンが来日。ドラマを未見だった彼が、宣伝スタッフに映画版との違いを尋ねたところ、とりわけドラマのラストシーンを聞くなり「What!? Oh my god!」と驚愕。「どんな感じに仕上がっているのかとても気になる」と興味津々の様子だった。
ちなみに、ユァンは日本版のポスタービジュアルを「とても好きだ。かっこいいよね」と気に入り、持ち帰ったほど。原作との違いはもちろん、ドラマと映画を見比べることで新たな発見、理解につながるはずだ。(編集部・石井百合子)