『ターザン』イケメン俳優の変貌ぶりが話題の注目作、監督らが撮影秘話を明かす
人気俳優のジェシー・アイゼンバーグとアレキサンダー・スカルスガルドが共演した注目の新作『ザ・ハミングバード・プロジェクト(原題)/ The Hummingbird Project』について、キム・グエン監督と俳優のマイケル・マンドが、3月11日(現地時間)、ニューヨークのAOL開催イベントで語った。
本作は、ミリ秒(1000分の1秒)単位の短時間で株をやり取りする高頻度取引の世界で、カンザスとニュージャージーの間に光ファイバーケーブルを引くことで、一獲千金を夢見るいとこコンビ、ヴィンセントとアントンの悲喜劇を描いた作品。がんの宣告を受けたヴィンセントをジェシーが、天才的な発想力を持つアントンをアレキサンダーが演じており、マイケルは二人に協力する仲間マークを演じた。監督は、映画『魔女と呼ばれた少女』『きみへの距離、1万キロ』のキム・グエン。
証券取引の世界を扱いながらも、ヴィンセントとアントンの関係を中心に描いている本作について、グエン監督は「観客を引き込むには、ファイナンシャルの世界を描くだけではダメなんだ。僕は今作を通して、ファイナンシャル・システム(金融制度)に関する疑念や、なぜわれわれはアメリカン・ドリームに取りつかれ、成功にこだわるのかなどを描くことで、何か(アメリカン・ドリームや成功など)にこだわりすぎて、(人として)目指すべきではないところに行きついているのではないかと、映画内で観客に疑問を投げかけているんだ」と説明する。当初は二人を兄弟の設定で描くつもりだったが、ジェシーとアレキサンダーを起用したことで、(顔が似ていないことから)いとこにと設定を変更したそうだ。
イケメン俳優のアレキサンダーがハゲ頭姿を披露していることも衝撃的かつ話題の本作。「彼はもともとハンサムだから、姿を変えることは全然気にしていなかったみたいだね。アントンがホテルに滞在しているときも、不快に見える薄緑色のバスローブを着ていたくらいさ」とグエン監督。共演のマイケルも「メイクアップアーティストたちは、アレキサンダーの髪をそるというよりも、むしろ引っこ抜いていたんだ。でも彼は、音楽を聴き、オートミールを食べながら、心地よさそうなくらいだったよ」と驚きの秘話を明かした。実際に頭の真ん中がはげているように見せるカツラをかぶることもできたが、それを拒否し、16時間近くかけて毛を引き抜いてもらい、ハゲ頭で撮影に臨んだそうだ。
今作で好きなシーンについて、マイケルは「ヴィンセントが救急車で運ばれ、何もかもが終わろうとしているシーンだね。例えば写真をソーシャルメディアに載せ、一旦携帯を置くものの、すぐにまた携帯をチェックして、誰かその写真に『いいね!』を押していないかチェックしたりするだろ? それを、人は何度もありえないくらいのスピードで毎日行っている。今作では、ヴィンセントとマークがそんなスピードを落としても良いことに、最後に気づかされる。そんなシーンなんだ」と答えた。(取材・文・細木信宏/Nobuhiro Hosoki)