齊藤工、「不安はない」ボーダレスな活躍に自信と期待
映画監督・俳優の齊藤工が日本映画ペンクラブ賞特別奨励賞を受賞し、12日に都内で行われた「2018年日本映画ペンクラブ賞&会員選出ベスト映画賞 贈呈式」に出席し、ボーダレスな活躍に意欲を見せた。
映画評論家、翻訳家、監督などによる任意団体「日本映画ペンクラブ」が映画界に多大な貢献をした個人・団体を称える同賞。今年で第47回となるが、俳優の受賞は「ショートショート フィルムフェスティバル&アジア」を普及させた2001年度の奨励賞受賞者・別所哲也に続いて2人目となる。
多くの映画啓蒙活動に関わり、俳優、監督としての活躍も称えられて受賞した齊藤は、「(個々の活動を)線ではなく、点として見てくださっている方が僕を救ってくれた気持ちです」としみじみ。
受賞の大きな要因となったのは、2014年から携わっている移動映画館プロジェクト。はじめたきっかけは、子供の頃から映画による疑似体験を楽しんでいた齊藤だが、映画文化は先進国の一部の娯楽であることに気づき、後進国の子供たちにも映画を楽しんでもらいたいと思ったことだという。その中で、「子供たちが初めて映像による疑似体験をする瞬間に立ち会い、映画には未来の選択肢を増やしていく力がある」と確信したそう。日本においても「被災地や映画館がない地域でこそ上映すべきだと常々思っていた」と語った。
「俳優は英語でアクター。行動する人・アクティビストという意味です。これからも僕は、論ずるより具体的に行動して映画の可能性に関わって行きたい」と声を弾ませる齊藤は、「自分を(役者として)セルフプロデュースするという感覚がない」とも。それは「自分が関わったプロジェクトや作品に対して向き合うことが今」だからで、今年は映画『MANRIKI』、『COMPLY+-ANCE』などで企画・プロデュースなどを務めるほか、撮影監督のセカンドやスチールカメラマンという役者以外のポジションで数多くの作品に携わっていることも打ち明けた。
近年は山田孝之のプロデュース業にも注目が集まっており、齊藤は山田と「まだ轍がないところに突き進んでいくことに不安はない」と話したことも報告。そして、「海外では俳優が監督をしたり、映画を作ったり、クリエイティブな活動は珍しくない」と言及すると、「ボーダレスな時代。(自分たちみたいな役者は)これから増えてくると思います。特にエンターテインメントの世界では、一色じゃなくていいと思うので、これからも模索しながらやっていきたい」と力を込めた。(取材:錦怜那)
<2018年日本映画ペンクラブ賞&会員選出ベスト映画賞 受賞者・作品>
●日本映画ペンクラブ賞:独立行政法人国立美術館 国立映画アーカイブ
●日本映画ペンクラブ賞特別功労賞:字幕翻訳・プロデューサー ショーレ・ゴルパリアン
●日本映画ペンクラブ賞特別奨励賞:映画監督・俳優 齊藤工
●外国映画部門第1位:マーティン・マクドナー監督『スリー・ビルボード』