『キャプテン・マーベル』若きニック・フューリーはいつのサミュエル?
マーベルスタジオ最新作『キャプテン・マーベル』(全国公開中)では、後にアベンジャーズを結成する諜報機関シールド(S.H.I.E.L.D.)のニック・フューリーと、主人公のキャプテン・マーベルことヴァースのタッグも見どころのひとつだ。映画の舞台である1990年代に合わせ、ニック役のサミュエル・L・ジャクソンも若き日の姿で登場するが、果たしていつごろの彼がモデルになっていたのか。
『シビル・ウォー/キャプテン・アメリカ』でも、アイアンマン役のロバート・ダウニー・Jrを違和感なく若返らせたマーベル。『キャプテン・マーベル』ではサミュエルだけでなく、フィル・コールソン役のクラーク・グレッグも、最新技術によって見事な若返りを果たしている。
技術的な面はスタッフに一任していたものの、監督のアンナ・ボーデンとライアン・フレックは、参考のため『パルプ・フィクション』(1994)を筆頭に「1990年ごろのサミュエルの映画は全部観た」と証言。最終的にスタッフともども、サミュエルが人質事件の交渉人を演じたサスペンス『交渉人』(1998)や、学園校内暴力がテーマの社会派映画『187(ワンエイトセブン)』あたりのサミュエルを再現することを目標にしていたという。「でも『パルプ・フィクション』のころの髪形は再現できなかったわ!」(ボーデン監督)
その出来栄えについてサミュエル本人は「予告編で確認した限りだと、もしかしたら『交渉人』のときの俺と似ているんじゃないかな? あのころの自分のルックスは覚えてるんだ」とまさにドンピシャな回答。しかし、撮影中はもちろん現在の自分のままで、顔に後のCG処理用のマーカーを付けて演技をしなくてはいけなかった。「自分の顔に黒い点がたくさんついてるんだよ。それで、そんなものついてないって感じで演技をすると、すっかり忘れちまうから、撮影が終わって待機トレーラーに戻ると、顔に黒い点がついている! ってなるんだ(笑)」
本作のニックは、まだ驚異的なパワーを持ったヒーローの存在など信じていないころ。それだけに、『アベンジャーズ』シリーズとは違い、地球外の存在への驚きを隠さず、常にキャプテン・マーベルにリードされる姿が笑いを誘う。サミュエルも「このころのニックには、そんなに名誉欲もないだろうし、賢いふりもしない、年齢からくるほど斜に構えてもいない。全く新しいニック・フューリーが、ついに初めて地球外生物に遭遇するんだ」と語っており、ユニークな彼の一面が楽しめる貴重な一本となった。(編集部・入倉功一)