演技派女優トニ・コレット、『シックス・センス』など自身の代表作を振り返る
映画『ミュリエルの結婚』、『シックス・センス』などの演技派女優トニ・コレットが自身の過去の作品について、3月20日(現地時間)、ニューヨークのコア・クラブで行われたQ&Aイベントで語った。
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オーストラリア国立演劇学院で演劇を学んだトニは、1994年に出演した映画『ミュリエルの結婚』で、ゴールデン・グローブ賞ミュージカル・コメディー部門の女優賞にノミネート、一躍脚光を浴びる。その後、映画『シックス・センス』でアカデミー賞助演女優賞にノミネート、舞台「ワイルド・パーティ」でトニー賞にノミネート。ドラマ「ユナイテッド・ステイツ・オブ・タラ」ではエミー賞主演女優賞を受賞するなど、幅広い活躍を見せている。
オーストラリアの独立系映画であった『ミュリエルの結婚』が、世界中で高評価を受けたことについて、トニは「あの映画だけでなく、『プリシラ』や『ダンシング・ヒーロー』なども1990年代の前半にオーストラリアで製作され、世界中の映画ファンを魅了し、オーストラリア映画界が世界中に認識されたの。でも残念ながら、それ以降は、次から次へとヒット作品が生まれるような現象は起きていないわね。どれも、とても面白く、正直に描かれ、オリジナルな映画でもあったわ」と語る。
『ミュリエルの結婚』当時は20歳だった彼女は、同作への出演以降、人生が完全に変わったという。「今でも、女優を続けているなんて、あの頃は考えられなかったわ。『ミュリエルの結婚』は、主人公ミュリエルが型にはまっていない役柄で、そんな若い女性が友情によって困難を乗り越えながら、家族内の虐待もやめさせようとするの。それは、決して珍しい作品ではなかったと思うのだけれど、人々の心に作品の思いがしっかりと届いたのだと思うわ」と懐かしそうに振り返った。
『シックス・センス』については、オファーも受けるまでM・ナイト・シャマラン監督については、何も知らなかったと語る。「実は、『シックス・センス』と同時期にマーティン・スコセッシ監督の『救命士』からも出演オファーを受けていて、二つのミーティングに参加していたわ。脚本を読むまで、スコセッシ監督の映画が好きなわたしは、当然彼の作品に出演するつもりだったのだけれど、『シックス・センス』の脚本を読み、その内容に衝撃を受けてしまったの。とてもショッキングだったし、全てがひっくり返った感じだったわ。もちろん、わたしだけではなく、あの内容に誰もが衝撃を受けたでしょうけどね」彼女によると、シャマラン監督は最初の脚本では、あのラストを用意していなかったが、撮影前に何か変える必要があると思い、加えたシーンだったと驚きの事実を明かした。
その後も『めぐりあう時間たち』、『リトル・ミス・サンシャイン』など、数年ごとに出演する映画がアカデミー賞作品賞にノミネートされてきたトニだが、そのような作品を見分ける手段があるのだろうか。「確かに、わたしの人生を際立たせるような作品に出会ってきたけれど、一方で(評価されない)全くダメな作品もあったわ。(わたしの人生を際立たせるような)映画に共通していることは、制作中はすごくポジティブな体験で、それらの映画に関わった人たちとは、今でも友人関係が続いていることね。ただ、そんな映画に出演できるのは、幸運なだけではないと思うの。すべての分野(俳優の演技、カメラワーク、衣装やデザインなど)が、しっかりとした準備をすることで、まるで魔法にかけられたようにうまくいくことがあるからよ」と答えた。(取材・文・細木信宏/Nobuhiro Hosoki)