トニー・ベネット&ハリー・ベラフォンテに名誉賞!著名人らが魅力を語る
4月4日(現地時間)ニューヨークのアポロシアターで、第17回ザ・ジャズ・ファンデーションのイベント「A Great Night in Harlem」が開催され、歌手のハリー・ベラフォンテとトニー・ベネットに名誉賞が授与。2016年の米国大統領選挙の民主党の予備選挙に立候補した、上院議員のバーニー・サンダース氏をはじめ、同イベントに参加した著名人が、ハリーとトニーへの思いや同ファンデーションについて語った。
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ザ・ジャズ・ファンデーションは、ジャズやブルースなどの音楽で生計を立ててきたミュージシャンたちの引退後、ヘルスケアや住居の提供や経済的支援を行ったり、自然災害に遭ったミュージシャンの家族たちを支えてきた財団。イベントには、俳優のダニー・グローヴァー、ブルース・ウィリス、ベン・スティラーら、歌手のパティ・スミスやベティ・ラヴェット、ミュージック・ディレクターのスティーブ・ジョーダンなどが参加した。
サンダース氏は、ハリーと(社会活動や政界を通して)個人的な知り合いだそうで「彼とは長年共に仕事をしたこともあって、ハリーこそ、真のアメリカのヒーローだと認識しているんだ。もちろん、誰もが彼が素晴らしいエンターテイナーであることは知っているが、決して楽ではない黒人の地位向上のために、長年前線でずっと戦ってきた人物だ。だから、僕はハリーの大ファンなんだ」と敬意を表した。
トニーとハリーの楽曲を人生を通して聴いてきたと語るのはR&Bのベテラン女性歌手ベティ・ラヴェット。「わたしたち黒人の楽曲は、ずいぶん長い間、殻に閉じ込められてきたけれど、ハリーの登場によって、わたしたちは彼の楽曲を楽しみ、大切にしてきたの。今では、わたしはトニーの息子(ダニー・ベネット)がCEOを務めているヴァーヴ・レコードで楽曲をレコーディングしているわ(3月下旬にダニーは社長の座を退任している)。ある意味トニーとは、身近な存在になっているわね。実は、今から50年前にわたしのマネージャーが、トニーを紹介してくれたのよ」と当時を振り返った。
ジャズやブルース作品の中で、もっとも影響を受けた楽曲を聞かれたパティ・スミスは、「アルバート・アイラーとジョン・コルトレーンの二人ね。アイラーは、音の波を出すような要素を持った演奏者として好きで、一方、コルトレーンは、スピリチュアルなミュージシャンとして好き。コルトレーンの楽曲は15歳の頃からずっと聴いているわ。彼はわたしたちミュージシャンに多大な影響を与えた素晴らしい人物よ」と笑顔で答えた。
ザ・ジャズ・ファンデーションでスペシャル・イベントを担当している、ミュージック・ディレクターのスティーブは、「僕自身、このアポロシアターから、それほど離れていないところで生まれたんだ。ジェームズ・ブラウンやモータウンのミュージシャンたち、スティーヴィー・ワンダーらがパフォーマンスをしてきたこの地で、僕も演奏したかったよ。ある意味、夢がかなったわけだ。今では、頻繁にここで演奏するようになったけれど、決して、それが当たり前のことだとは思っていないんだ。このビルに入ったり、ステージに上がったりする度に、特別なものだと思っている。それは決して色あせることがないね」と特別な思い出の場所であることを明かすと共に、多くのミュージシャンへの援助の必要性も語った。(取材・文・細木信宏/Nobuhiro Hosoki)