安田顕の極悪人役が怖すぎ!「絶叫」で魅惑の悪
朝ドラ「なつぞら」や映画『ザ・ファブル』(6月21日公開)など今年も出演作多数の安田顕が、WOWOWで放送中の「連続ドラマW 絶叫」で凶悪な犯罪者役に。葉真中顕の同名小説に基づく本作で、安田は薄幸な主人公・陽子(尾野真千子)の人生を一変させていく裏社会の住人、神代武役に。得体のしれない心の闇を感じさせる怪演ぶりに迫ってみた。(一部ネタバレあり)
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都内のアパートの一室で猫に食い荒らされた女性の遺体が発見されるという衝撃的な展開から幕を開ける本作。その女性と見られるのは、母親から愛されず、弟の死、借金を抱えた父の失踪と将棋倒しのような不幸に見舞われ、その後もブラック企業でのパワハラ、恋人からのDVなど苦労続きだった女性・鈴木陽子。そんな陽子の転落人生を変えるきっかけとなるのが神代で、この2人の歪んだ関係がドラマの肝でもある。
神代は、「NPO法人カインドヘルプ代表」という肩書を名乗り、行き場のないホームレスに「君は社会から見捨てられた“棄民”だ」と甘い言葉をささやいて手なずけては、彼らから生活保護費を奪う悪徳ビジネスに手を染めている。安田は、弱者の味方となる「人格者」と人の命を“換金”する「犯罪者」という二つの顔を使い分け、狙った獲物は逃さないヘビのような男をひょうひょうと演じ、底知れない恐ろしさを感じさせる。
しかし一方で、陽子にとって神代が単なる「モンスター」ではないところもポイントで、いつか彼に殺されるのではないかという恐怖におびえると同時に、どうしようもなく魅入られているのも事実だ。陽子に見せている顔は、どこまでが本当で、どこまでが嘘なのか。ある種のミステリアスさと狂気、そして色香を備えた難役に臨んだ安田の熱演、そして「出会わない方がよかった2人」の関係から目が離せない。
そんな魅惑の悪を演じた安田だが、明日(10日)スタートの新ドラマ「白衣の戦士!」(日本テレビ系)では一転して、人の命を救う外科医に。昔はかなりモテたらしいが今は恐妻家で妻の尻に敷かれているという、微笑ましいキャラクターにふんする。(編集部・石井百合子)
「連続ドラマW 絶叫」はWOWOWプライムにて放送中(全4話)
第一~三話まで4月9日深夜1:00~2:55まで放送
第三話:14日午前8:00~放送
最終話:14日夜10:00~、15日夜11:00~放送