吉沢亮『キングダム』自分の代表作になればと死ぬ気で挑んだ
昨年は劇場公開映画が8本を数えるなど俳優として着実にキャリアを積んでいる吉沢亮。そんな彼が「僕のなかの一つの代表作になればという気持ちを持って全力でやらせてもらった」と自信を持って語った映画『キングダム』。奴隷の少年・漂と若き王・エイ政という二役に挑んだ吉沢が作品への熱い思いを語った。
全世界で累計発行部数3,800万部(4月1日時点)を誇る原泰久の大人気コミックを実写化した本作。吉沢はもともと原作が大好きだったと言うと「他の出演者の方もそうだと思いますが、この作品にかける思いは相当熱いものがありましたし、大好きな分、絶対面白いものにしなければいけない」と強い責任感で挑んだことを明かす。
ビジュアルが同じながら、奴隷と王というまったく身分の違う二人の青年を演じた吉沢。どちらも山崎賢人演じる主人公・信に深く関係するキャラクターであり、物語のうえでも重要な人物だ。「見た目は一緒ですが、王様と奴隷という両極端な役。深く人間性を掘り下げ、一目見ただけで漂と(エイ)政のどちらを演じているかわかるぐらいにしたかった」と高い意識を持って役に臨んだ。アクションシーンに関しても、我流で粗削りな漂と、王族として英才教育を受けたであろうエイ政の剣術の違いも繊細に取り入れた。
20日間の中国ロケをはじめ、全国各地で行われた日本での撮影は過酷を極めた。「本当にきつかった。『世界遺産ですか』というぐらいの場所や、ちょっと動いたら崖から落ちて死んじゃうんじゃないかと思うくらい高いところでの撮影は当たり前で、足場の悪いなかでのアクションもありました。体力的には限界に近かったです」
それでもスタッフやキャストはものすごく明るかったという。「とにかく皆さん笑って熱気がありました。普段僕は、現場ではおとなしく座っていることが多いのですが、この作品ではすごく良いコミュニケーションが取れたんです」。一丸となって「絶対すごい作品にしよう」という熱い思いによって、過酷なロケも乗り切った。
なかでも、旅を共にする主人公・信を演じた山崎とは4度目の共演となるため、クランクイン前から絶大なる信頼を寄せていた。「人としても役者としても信頼しているので、信と漂の関係性はもちろん、信と(エイ)政の距離感もすぐにつかめました。賢人だからこその空気感は出ていると思います」と胸を張った。
そんな吉沢が一番注目してもらいたいシーンが「漂と信が死別するシーン」だという。中国で原作者の原泰久と食事に行った際にも「原作でも大切にしている場面」と直々に言われたそうだ。「あのシーンは僕と賢人のアドレナリンがめちゃくちゃ出ていて、夜の9時から夜中の3時ぐらいまで、ぶっ続けで撮影をしたのですが、一切集中力が途切れることがなかったんです」
普段、控え目な印象がある吉沢が「自分で言うのもどうかなと思うのですが……」とやや照れながら「これだけ頑張って、みんなで力を合わせて死ぬ気で挑んだ作品なので、海外を含めできるだけ多くの人に観てもらいたい」と熱く語った『キングダム』。この吉沢の言葉通り、これまでの日本映画のスケールをはるかに超えた壮大な物語がスクリーンに映し出されている。(山崎賢人の「崎」は「たつさき」が正式表記)(取材・文:磯部正和)
映画『キングダム』は4月19日より全国公開