映画『キングダム』原泰久、早く感想が聞きたい
俳優の山崎賢人が主演した映画『キングダム』が公開中。脚本にも参加した本作の、中国で敢行されたロケ撮影現場を訪れた時のことを「夢みたいでした」と振り返った原作者の原泰久が「実写映画『キングダム』」について語った。
2006年1月に「週刊ヤングジャンプ」で連載が始まった「キングダム」は、現在までに単行本は54巻まで刊行され、累計発行部数3,800万部超(4月1日時点)を記録しているヒット作。実写化不可能とまで言われた壮大なスケールは多くのファンを獲得し、昨年4月の実写映画化の発表、昨年10月の製作報告会見での主演・山崎をはじめとする出演者の発表はともに大きく注目された。
映画では原作の1巻から5巻まで、中国の春秋戦国時代を舞台に、戦災孤児の少年・信(山崎)が中華統一をもくろむ若き王・エイ政(吉沢亮)と出会い、王都奪還の戦いに身を投じていく姿が描かれている。「(原作を書いている時に)5巻までをパッケージ化してつくっていなかったので、ちゃんと2時間の中で成立する、起承転結のある作品にしたい」という思いを持ちながら、原は脚本会議に参加した。
何度も改訂を重ね、最後には撮影開始の直前に行われた「12時間缶詰の脚本会議」を経て完成した脚本について「すごくいい脚本になって送り出せた」と原は胸を張る。そして訪れた映画『キングダム』の中国ロケは格別だった。
「映画の撮影現場を見たのは初めてでした。すごく大きいセットにすごい人数と機材がある空間で圧倒されて。自分が紙と鉛筆で始めたものがここまで大掛かりなことになっていることに、ちょっと一瞬ヒヤッとしたんです。嬉しい反面、申し訳ないというか、表現しにくいいろんな感情がかき混ざっていたんです。夢みたいでした」
完成作について「原作の1巻から5巻までの内容と映画の内容を比べると圧倒的に映画が勝ってますよ、間違いなく(笑)」と原は笑う。原が生み出し、読者を魅了した「キングダムの信」というキャラクターを、映画では山崎賢人が演じている。「(映画を観ていて)途中から『この信にハッピーになってほしい』と思わされ、応援しながら観ていました。そのぐらい、愛され、応援されるキャラクターになっているのでこれはもう大成功だなと思いました」
特に原の印象に残った大好きなシーンがあるそう。それは山崎が「信ならどうする?」と自分自身で突き詰めて考え、アドリブを見せた信とエイ政の出会いのシーン。「すごくリアリティーがあって『これが実写化だなー』と思いました。(信が)息をしているんだなと。賢人くんなりの信がすごくよかった」と山崎が昇華させた信に太鼓判を押した。
取材が行われたのは映画がファンにお披露目されたワールドプレミア当日。「長いようで短かったような気がします。ドキドキです。早くみなさんの感想が聞きたい」とインタビューの冒頭で語った原はインタビューを締めくくる言葉でも「原作好きの方に全員観てもらいたくて、感想を知りたいです。絶対に損しない2時間になっていると思います」と自信をのぞかせ、「もちろん原作を知らない方でも面白いドラマがあるので楽しんでもらって、もしよかったら原作も買ってください(笑)」とメッセージを送っていた。原作者・原泰久お墨付きの映画が完成している。(山崎賢人の「崎」は「たつさき」が正式表記)(編集部・海江田宗)