『アベンジャーズ』クリス・エヴァンス、キャップ以前のキャリアと相違点
映画『アベンジャーズ/エンドゲーム』が公開を迎えた『アベンジャーズ』シリーズで、アイアンマンと、彼を演じるロバート・ダウニー・Jrの歩んだ道のりが似ているのは有名な話だ。どちらも人気者であるものの、アルコール依存症に悩み、それを克服して見事に復活している。他の俳優たちにも、彼らの演じるヒーローに通じる一面があるのかも。チームを支えるビッグ3の一人、キャプテン・アメリカとクリス・エヴァンスのキャリアを比較する。
【動画】キャップの運命は?『アベンジャーズ/エンドゲーム』予告編
クリスの経歴を見ると、普通の家庭に生まれ、ある年齢まで大きな事件もなく歩んできたように見えるところはなんとなく、マーベル・シネマティック・ユニバース(MCU)におけるキャプテン・アメリカのようでもある。1981年6月13日、マサチューセッツ州ボストン出身。ダウニー・Jrの16歳年下にあたる。大ブレイクを果たした、2011年のシリーズ第1作『キャプテン・アメリカ ザ・ファースト・アベンジャー』公開時は30歳だった。
父は歯科医、母は劇場のアートディレクター。4人兄弟の2番目で、姉と弟、妹がいる。演技好きの姉の影響で演技を始め、高校では演劇部で活躍し、卒業後はニューヨークの演劇学校で学び、1997年から映画やテレビに出演し始めた。『キャプテン・アメリカ』以前のキャリアは、よくある若手俳優の経歴にも見える。
しかしクリスは、キャプテン・アメリカを演じる前にアメコミ映画に出演している。それがマーベル作品だったのは、縁があったのかも。20世紀フォックスの『ファンタスティック・フォー[超能力ユニット]』(2005)、『ファンタスティック・フォー:銀河の危機』(2007)で、全身炎と化して高速で空を飛ぶ、ヒューマン・トーチを演じた。この時は、チームのリーダーではなく、ジェシカ・アルバ演じるスー・ストームの弟という、文字通りの弟分キャラ。この役の軽さ、コミカルさが、キャップの生真面目さと真逆なのが楽しい。
もうひとつ興味深いのは、MCUに参加する前に、後にブラック・ウィドウを演じることになるスカーレット・ヨハンソンと、2度も共演していること。2004年の『スカーレット・ヨハンソンの 百点満点大作戦』では一緒に試験用紙を盗み出そうとする高校の同級生役、2007年の『私がクマにキレた理由(わけ)』では、スカーレット演じるヒロインが憧れを抱く同じアパートに住むハーバード大生を演じた。これも縁?
ところで、キャプテン・アメリカといえば、ペギー・カーターを思い続ける一途さも魅力。その点、クリスはどうなのかというと、似ているような、似てないような。現在独身なのは同じだが、キャップと違って恋の噂はいろいろあった。
まず、2004年の『セルラー』で共演したジェシカ・ビールとは2001年頃から2006年まで交際。2007年から2013年頃までは海外ドラマ「新チャーリーズ・エンジェル」のミンカ・ケリーとくっついたり離れたり。そして2016年からは『gifted/ギフテッド』で共演したジェニー・スレイトと交際を始めるが、破局して復縁して、2018年1月には婚約の噂も出たものの3月に破局。オン・オフはありつつも長続きするところはキャップっぽいけど、彼のような運命の相手は見つかっていないようだ。
そんなクリスが、自ら卒業を示唆しているキャプテン・アメリカは『エンドゲーム』でどんな役割を果たすのか? それは心配だが、クリスの今後は心配ない。本作の後は『スター・ウォーズ/最後のジェダイ』のライアン・ジョンソン監督の『ナイヴズ・アウト(原題) / Knives Out』、『イコライザー』シリーズのアントワーン・フークア監督のSF『インフィニテット(原題) / Infinite』など新作予定が続々。もし卒業したとしても、あちこちでヒーローぶりを発揮してくれそうだ。(平沢薫)