倍賞千恵子&藤竜也、故・星由里子さんを偲ぶ
倍賞千恵子と藤竜也が10日、出演映画『初恋~お父さん、チビがいなくなりました』(公開中)の初日舞台あいさつを都内で行い、昨年亡くなった共演者の星由里子さんについて、撮影時のエピソードなどを振り返り、その死を惜しんだ。
本作は西炯子の漫画を実写映画化したヒューマンドラマ。長年連れ添ってきた夫婦(倍賞、藤)が結婚50年目にして初めてお互いの気持ちに向き合っていく。昨年5月に逝去した星さんは、倍賞ふんする有喜子が結婚前に働いていたミルクスタンドの同僚・志津子を演じた。倍賞、藤と初共演を果たした本作が星さんの遺作となった。
倍賞は「(亡くなったのは)撮影が終わってひと月くらいでしたか。びっくりしました。撮影中もそんなふうに(病気のように)見えませんでしたので」と訃報を聞いた当時を回顧。星さんや藤とは「東宝、日活、松竹のスターの共演という感じだった」と振り返りながら、「わたしはいい加減なところがあるけど、彼女は背筋をいつもきちんとしていた。スターの人ってこんなふうにあるべきなんだろうなって見ていて感心しました」と刺激を受けたという星さんとの撮影時のエピソードも明かした。芝居の相性も良かったと言い「自然とセリフが立ち上がっていく感じです。そういう経験は過去あまりなかったので本当に楽しかった」と感慨深げだった。
藤も「星さんと言えば『若大将』の星さんというのが最初の印象。かつての大スターの女性とご一緒する時は今でもミーハーになります。共演できて、長生きしていてよかったと思いました」と笑顔。「星さんのセリフで『何、かっこつけてんの』っていうセリフがあるんですけど、あれは(芝居を超えて心に)効きましたね。キャリアから来るセリフの重さを感じました」と撮影現場で感じた女優としての星さんの凄みも紹介した。
また、倍賞は「藤さんとは28年ぶりに夫婦役をやらせてもらって、藤さんは今回頑固なお父さん役。あんまり令和になって日にちが経っていないんですけど、昭和はこういうお父さんがたくさんいたんです。でも本当は藤さんはとても優しい人。映画の中で口をきいてくれなくなるんですけど、撮影の時もそばにいてくれなくて寂しかった」と語りながらも、「藤さんとは家が近くて、食事に一緒に行ったりもするんですけど、プライベートでは奥様にとても優しい人。奥様をとっても大切にしていて、いつも『ありがとう』って声をかけていらっしゃいます」と藤の人柄に触れていた。
舞台あいさつには市川実日子、小市慢太郎、西田尚美、小林聖太郎監督も登壇。フォトセッションには劇中に登場する猫・チビ役を務めたりんごも駆けつけた。(取材・文:名鹿祥史)