蒼井優、“姉”竹内結子は男前な先輩
蒼井優が15日、有楽町のよみうりホールで行われた映画『長いお別れ』のプレミア試写会に出席し、姉妹役で共演した竹内結子に対して「頼もしい男前な先輩」と全幅の信頼を寄せている様子を見せた。
『湯を沸かすほどの熱い愛』などの中野量太監督が直木賞作家・中島京子の同名小説を映画化した本作。認知症の影響で徐々に記憶を失っていく父と、彼と向き合うなかで自分自身を見つめ直していく家族の姿を描く。この日は共演者の松原智恵子、北村有起哉、中野監督も来場。父役の山崎努の登壇も予定されていたが、体調不良のため欠席となった。
大勢の観客で埋まった客席を見渡した中野監督は「映画とは面白いもので、クランクアップしたときは嬉しいのですが、その後はみんなバラバラになってしまう。でも公開するときにはもう一度集まる。こういうところも映画の好きなところの一つ。今日は嬉しいです」と晴れやかにあいさつ。
また、家族を演じたキャストたちについて、監督は「家族に見せるのではなく、家族に見えるような映画になればいいなと思った。もちろんみなさんプロですから、初日に会っても(演技は)できる。でも、そこを超えるものが映ればいいなと思ったんです」と語る。そのために撮影前にはハウススタジオを借り、リハーサルと顔合わせも兼ねて、認知症にかかる以前に行われたであろう劇中の父(山崎)の誕生日会を行うなど、俳優陣のコミュニケーションを深めていったのだとか。
このリハーサルが演技にとても役立ったと語る姉役の竹内は、それだけに“父”が認知症を患うことを思って涙してしまったという。「悲しくて泣いたわけではないのですが、父が変化していくことにショックを受けたんです。でも監督からは『こういうときに泣くのは妹のほうかな』と言ってもらって。そういうふうに役を作っていけたのが大きかった」と振り返る。
一方、妹役を務めた蒼井は、実生活では男兄弟しかいないそうで「竹内さんがお姉ちゃんというのは想像がつかなかったけれど、すごくたくましく……頼もしい先輩だと感じていて、絶対に大丈夫という思いはありました。今までがっつり共演する機会はなかったのですが、以前に食事に行かせていただいたときに、すごく男前な先輩だったなという印象があったので、竹内さんに任せればいいじゃないか、と。実際、ご一緒してみて竹内さんは“姉妹感”をものすごく自然に作ってくださった」と全幅の信頼を寄せている様子だった。(取材・文:壬生智裕)
映画『長いお別れ』は5月31日より全国公開