世界が注目する新鋭!奥山大史監督『僕はイエス様が嫌い』初日に感無量
世界の映画祭で4冠に輝いた注目の映画『僕はイエス様が嫌い』の初日舞台あいさつが31日に都内で行われ、登壇した奥山大史監督は「本当に今幸せです」と喜びを噛みしめた。
同作は、奥山監督が大学卒業制作として挑んだ長編初監督作。ミッション系の小学校に転校した少年・ユラが信仰について考え、成長していく姿が描かれる。この日のイベントには、ユラ役の佐藤結良をはじめ、大熊理樹、チャド・マレーン、佐伯日菜子、北山雅康、大迫一平、ただのあっ子、秋山建一、木引優子、初美まりらキャスト勢も出席した。
第66回サンセバスチャン国際映画祭で最優秀新人監督賞に輝き、フランスやスペイン、韓国ではすでに劇場公開が決まっているなど、国内外の注目を浴びる同作。ついに日本での公開を迎え、奥山監督は「作った時はこういうゴールの迎え方ができると思っていなかったので、本当に今幸せです」と喜びを噛みしめると、苦労を共にしたスタッフ・キャスト、数ある映画の中で同作を選んでくれた観客に感謝した。
また、「(演出に)迷っている暇もなかったくらい撮影日が短かった」と明かすと、家族で食卓を囲むシーンの料理は、自身の母親の手作りであることも紹介。「本当はスタッフで作りたかったけど人手がなく、撮影現場と実家が近かったのでお願いしたらやってくれました」と安堵の表情を見せつつ、「ワンシーン・ワンカットで、あまり食べ物に(カメラが)寄らないんで、母親は満足していなかったです」と苦笑いした。
その奥山監督について、山田洋次監督の数々の作品に出演している北山は、「(山田監督と奥山監督の)芯は一緒。ドンと現場にいて下さるのでぶれない。安心して任せられた」と巨匠にも劣らない頼もしさに称賛を送った。
一方チャドは、アイルランドのダブリン国際映画祭で最優秀撮影賞を受賞するも「上映が終わったら、そのまま帰ろうとした」という監督のおっちょこちょいエピソードを暴露。奥山監督は「授賞式逃しちゃったんですよ。空港に着く直前に受賞のことを知ってびっくりしました」と振り返っていた。
佐伯は奥山監督の熱意を感じながらもアットホームな現場を思い返し、息を詰まらせながら「すごく幸せな現場で……。みなさんに観ていただきたいと思っていた映画なので、みなさんでこの映画のお誕生日を迎えられたことがうれしいです」となんとか言葉をつないでいた。
最後に奥山監督は、「最近、理不尽な事件が多い中で、この映画がかかるというのは何かを感じている」と打ち明けると、「当事者の人に観てくださいという自信はないですけど、辛いニュースを見て傷ついている人にこそ観ていただきたい」と思いを込めた。(取材:錦怜那)
映画『僕はイエス様が嫌い』はTOHOシネマズ日比谷ほか全国順次公開中