ADVERTISEMENT

高畑勲監督の遺品から段ボール18個分の資料 初の回顧展、2日よりスタート

7月2日より開催の高畑勲展
7月2日より開催の高畑勲展

 テレビアニメ「アルプスの少女ハイジ」や映画『火垂るの墓』『かぐや姫の物語』で知られるアニメーション監督・高畑勲(1935~2018)の初の回顧展「高畑勲展ー日本のアニメーションに遺したもの」が、明日2日より東京国立近代美術館で開催される。1日、同館でマスコミ向け内見会が行われ、キュレーターの東京国立近代美術館の主任研究員・鈴木勝雄氏が、本展の見どころを説明した。

【写真】高畑勲展の一部を公開!

 昨年4月に82歳で亡くなった高畑監督の足跡を年代順にたどり、日本のアニメーションの礎を築くとともに、新しい表現を追求し続けた姿勢を明らかにする本展。

ADVERTISEMENT
ぼくらのかぐや姫
高畑勲「ぼくらのかぐや姫」企画ノート(1頁)1960-61年頃

 鈴木氏は「本館の漫画・アニメ展としては、1960年の『手塚治虫展』に続くもので、高畑さんの生前から企画を進めていたものでした。ですが、高畑さんの逝去により本展は追悼展、偉大な監督の回顧展として、その意義を大きく変えることになりました」とあいさつ。その後「ご遺族の協力で、遺品から段ボール箱18個に及ぶメモやノートが発見され、貴重な1,000点もの展示資料が集まった」という。絵を描かない高畑監督の「演出術」に焦点を当て、多面的な作品世界を10数人の研究チームを作り、読み込んでいった。

長くつ下のピッピ
『幻の「長くつ下のピッピ」』企画書など

 展示は4章で構成。演出助手時代の『安寿と厨子王丸』(1961)から、劇場用長編初監督作となった『太陽の王子 ホルスの大冒険』(1968)が中心の第1章。テレビ名作シリーズ「アルプスの少女ハイジ」(1974)など子供の心と日常の喜びを描く第2章、日本の現代史と向き合った『火垂るの墓』(1988)などの第3章、そしてデジタル技術で水彩画風の描画に挑んだ遺作『かぐや姫の物語』(2013)などの第4章。

ADVERTISEMENT
かぐや姫の物語
『かぐや姫の物語』背景、動画参考セル(C)2013 畑事務所・Studio Ghibli・NDHDMTK

 鈴木氏は、特に見どころの展示として、1960年前後にすでに『かぐや姫の物語』の端緒が読める「ぼくらのかぐや姫」の企画メモ(1960年前後)や、宮崎駿監督が描いた『パンダコパンダ』(1972)のレイアウト、高畑監督と宮崎監督による「アルプスの少女ハイジ」の絵コンテ、そして絵を描かない高畑さんが自らの筆で描いたテレビシリーズ「ペリーヌ物語」(1978)の絵コンテなどを紹介。

 さらに「アニメーションの革新者として、また人間ドラマとリアリズムを確立し、スケッチ的な絵の力を追求したアーティストとして、高畑さんが何者であったかに触れてみてほしい」と語っていた。(取材・文/岸田智)

「高畑勲展ー日本のアニメーションに遺したもの」は東京国立近代美術館にて7月2日より10月6日まで開催

  • mixiチェック
  • このエントリーをはてなブックマークに追加
  • ツイート
  • シェア
ADVERTISEMENT