アニメがAIで動く!クラシック演奏に「ブラボー!」の声
和田淳ら世界の気鋭映像作家4人が、クラシックの名曲ヴィヴァルディの「四季」をアニメーション映像化した世界初のプロジェクトのライブアニメーションコンサートが現地時間12日、フランスで開催中の第43回アヌシー国際アニメーション映画祭の特別会場アヌシー城内の大ホールで上映された。幻想的な空間で繰り広げられたアニメとクラシックの融合に会場からが「ブラボー!」の声が沸き起こった。
同プロジェクトは2017年の東京藝術大学大学130周年を記念して制作されたもので、同大学大学院映像研究科教授であるアニメーション作家の山村浩二監督が映像監修を務めている。参加メンバーは「春」をロシアのアンナ・ブダノヴァ、「夏」をエストニアのプリート・パルン&オルガ・パルン、「秋」を和田、「冬」をブルガリアのテオドル・ウシェフ。
『頭山』(2002)で主要国際アニメーション映画祭の賞を総ナメにし、海外アーティストとも親交が深い山村監督ならではワールドワイドな人選で、『グレートラビット』(2012)でベルリン国際映画祭短編部門で銀熊賞を受賞した和田をはじめ、皆、国際映画祭で受賞を重ねている注目の映像作家たちだ。
ライブアニメーションコンサートという形で上映する試みはすでにロサンゼルスや東京、エストニアなどでも行われており、それぞれ現地の演奏家たちとコラボレーションをしてきた。この日は、地元アヌシー・コンセルヴァトワールで講師を務める精鋭メンバーが演奏を担当。さらに、映像に演奏家が合わせる従来のフィルムコンサートの手法とは異なり、AI技術を使い演奏に合わせて映像が動き出すというニューテクノロジーも導入されており、日本からAIチームも現地入りした。
この映画祭ならではの特別な一夜に、約250席の会場はあっという間に満席となり、入りきれない観客も多数出たほどだった。山村監督は「これまでもコンサートホールからオペラ劇場のような場所まで上映会場がそれぞれ違っていたので、趣も異なり面白い。おかげさまで好評で、今日も早速、ポーランドからも上映のオファーをいただきました」と顔をほころばせていた。
なお山村監督は本年度のアヌシー国際アニメーション映画祭で短編部門の審査員を務めている。(取材・文:中山治美)
第43回アヌシー国際アニメーション映画祭は6月15日(現地時間)まで開催