『ライオン・キング』なぜ今“超実写版”なのか?ドナルド・グローヴァー語る
ディズニーの名作アニメーションの“超実写版”である映画『ライオン・キング』が8月9日に公開される。主人公・シンバの声を担当したドナルド・グローヴァーが今こそ公開されるべき“超実写版”の魅力を明かした。
『アイアンマン』シリーズなどのジョン・ファヴロー監督がメガホンを取った本作は、アフリカのサバンナを舞台に幼いライオンが王へと成長していく姿を描いた作品。1994年に公開されたアニメーション版は、世代や国境を超えて世界中の人々に親しまれてきた。「サークル・オブ・ライフ=自然界の命は大きな環で繋がっている」という壮大なテーマが描かれ、今もなおディズニーアニメーション史上No.1の観客動員数を誇っている。
本作は“超実写版”として、アニメーションも実写も超えた新たな表現にディズニーが挑み、映画の世界に入り込んだかのような映像体験を実現した。世界的な歌姫として知られるビヨンセ(ナラ役)が参加するなど、圧巻の名曲の数々も見どころとなっている。
シンバの声を担当するのは、俳優や歌手、監督から脚本家までマルチに活躍を続けるドナルド・グローヴァー。俳優としては『スパイダーマン:ホームカミング』『ハン・ソロ/スター・ウォーズ・ストーリー』などの大作に出演を果たしている。また、アーティストとしては、“チャイルディッシュ・ガンビーノ”名義で2011年にデビュー。昨年発表した「This Is America」がグラミー賞を受賞する快挙を成し遂げた。
さらには、自身が主演し、監督・脚本も務めたテレビドラマ「アトランタ」(2016~)で、第74回ゴールデングローブ賞の主演男優賞と監督賞(ともにコメディ部門)を受賞しており、クリエイターとしても真価を発揮。現代エンターテインメントを代表する存在として認められている。
そんなドナルドが『ライオン・キング』の“超実写版”について、こう語る。「『ライオン・キング』は時代を超越した物語だけど、ファヴロー監督の作り方は、ものすごくタイムリーなストーリーでもあるんだ」。その新たな魅力とは、ファヴロー監督によって生み出された“サークル・オブ・ライフ”のメッセージにあるという。
ドナルドが語るのは、一人一人が独立した人間でありながらも、実際には互いに繋がっており、各々にとっての果たすべき役割がある、ということだ。他者との繋がりを意識することも少なくなり、個々人が孤立した状態となっているように感じられる現代社会において、そのことに改めて気づかせてくれる。“サークル・オブ・ライフ”が現代に生きるすべての人にとって、より共感できるメッセージとなっていることで、新たな『ライオン・キング』が“タイムリー”な作品としての魅力を放つのだ。
また、物語のテーマだけでなく、公開前から注目を浴びる圧巻の映像表現も本作には欠かせない重要な要素となる。ドナルド自身、映像については驚かされたようで「本当に驚異的だったよ。あんなのを見たのは生まれて初めてさ。現代の技術であそこまでの動きを生み出せるというのは、きっと史上初なんじゃないかな。彼がやってみせた古いテクノロジーと新しいテクノロジーの融合には、本当に感動させられたね」と称賛の言葉を口にしている。
キャラクターの動きや、毛並みに至るまでのディテール、そんな野生動物のリアリティーを備えつつ、壮大に広がるサバンナの大地や草木の間に吹く風を感じさせ、まるで観客がサバンナに降り立ったかのような感動を与えてくれる。“超実写版”の全貌は、スクリーンでこそ堪能したいところだ。(編集部・大内啓輔)