小栗旬&本田翼、新海誠監督『天気の子』参加への思いを語る!
7月19日に公開され、大ヒットを記録している新海誠監督最新作『天気の子』。主人公である森嶋帆高とヒロインの天野陽菜を温かく見守る「大人」の須賀と夏美の声を担当した小栗旬と本田翼が、新海作品参加への思いを語った。
前作『君の名は。』は国内興行収入およそ250億3,000万円という歴史に残る大ヒットを記録した。幼少期からアニメが大好きだったという小栗は「アニメの声のお仕事の話をいただくのは、いつもすごく嬉しいですし『君の名は。』も好きな映画だったので光栄でした」と笑顔を見せる。公開前から大きく注目されていたが「僕一人がプレッシャーを感じても意味がないので、あくまでニュートラルな感じ」と自然体で臨んだことを強調すると「本来、新海監督がプレッシャーを背負う立場なのですが、監督自身がいい意味でもっと革新的に攻めようという考えだったので、こちらは一つのピースとして思い切りやらせてもらいました」と続けた。
一方、本田は本作出演の経緯を「オーディションという形だったと思います」と説明する。正式に役柄のオファーということではなく「声を聞かせてほしい」というところから始まったというのだ。本田自身も「これで映画に参加できなかったら、夏美は他の人がやるんだろうな……という切ない気持ちもあったんです」と胸の内を吐露すると「決まったと聞いたときはすごく嬉しかった。この年齢になるとオーディションを受ける機会も少なくなってくるので、合格したという事実はすごく励みになりました」と当時を振り返る。ただ小栗とは違い「新海監督の新作ということで、世間の目も厳しいことは想像できたので、わたしはプレッシャーを感じてしまいましたね」と苦笑いを浮かべた。
アフレコ現場ではどんな演出を受けたのだろうか。「『小栗さん、いまよりもうちょっと低めで』とよく言われました。自分のなかでも意識していたつもりでしたが『もうちょい低め、もっと渋く』という指示が多かったですね」(小栗)。「わたしがよく言われたのは『違うパターンもらえますか?』ですね。同じセリフでいろいろな声色を試しました」(本田)。
この点に関して小栗は「『翼さんはやるたびにいろいろなニュアンスが出てくるから、収録していて楽しい』って新海監督が言っていたんです。でもそれって僕にはあまり引き出しがないから、収録していてそれほど楽しくないんだなって……(笑)」と自虐発言をして本田を笑わせていた。
劇中、圭介や夏美は、主人公の帆高(声:醍醐虎汰朗)やヒロインの陽菜(声:森七菜)を温かく見守る「大人」だ。アフレコ現場でも、醍醐や森の初々しさは新鮮だったという。本田は「彼らを見ていると自分は大人になったんだなと実感しますね。この映画も若かったら、帆高や陽菜の目線で見ていると思うのですが、無意識に大人として若者たちを見ていましたから」と変化を述べると、小栗も「僕もなるべく若い子たちに会っても『若いな、青いな』って思わないようにしているのですが、目線の違いは感じますね」と語った。
とにかく醍醐や森が初々しかったと語る小栗と本田。「醍醐くんが、舞台あいさつのとき『電車に乗るときワクワクしていた』って話していたんです。そんな気持ちの頃、あったかも」と本田が笑うと、小栗も「彼らは本当にしっかりとこの作品に向き合っていました。僕にもそういうときがあったなーって懐かしくなりました」と話す。
そんななか、本田が「アフレコのとき、醍醐くんに『小栗さん、緊張した?』と聞いたら『メッチャ緊張しました』って話していたんですよ(笑)」と小栗に投げかけると、小栗は「僕、ちょっと緊張させる雰囲気を出してしまうタイプなんです」とニヤリ。本田が「え、あえてなんですか?」と突っ込むと「僕自身、初対面があまり得意ではなく、基本『感じ悪い』って思われるんです。だからまあもういいかって思っちゃって……」と苦笑いを浮かべていたが「でもそういう雰囲気お構いなしにガンガン来る人もいるんですよね。そういう人って面白いじゃないですか」と態度の背後にある考えを披露した。
『天気の子』は公開直前まで、試行錯誤を重ねて作り上げられた。小栗は「すごくストレートなメッセージが詰まった作品で、素直に感動しました。新海監督とRADWIMPSさんがギリギリまで悩みながら作っただけあって、作品と音楽の関係性も素晴らしい。すべてをひっくるめて最終的には東京ってキレイだなと思える映画です」と見どころを語ると、本田も「新海監督はビデオコンテに自らすべての声を吹き込んでわたしたちに渡してくれました。どんなことがあってもやり遂げ、周りの人の気持ちまでも変えてしまう姿が、この映画の主人公の帆高に似ていると感じました。帆高くんと新海監督が重なるシーンもあり、そこで改めて感動しました」と感想を述べた。
現時点で世界140の国と地域での公開も決まっている本作。小栗、本田ともに「世界に広がっていくところを見届けたい」と作品に思いを馳せていた。(取材・文:磯部正和)