スパイダーマン、MCU離脱へ…ディズニーとソニーが交渉決裂
ディズニーとソニー・ピクチャーズの交渉がまとまらなかったため、今後スパイダーマン映画をマーベル・スタジオの社長ケヴィン・ファイギが手掛けることはなくなるだろうとDeadlineなどが報じた。つまり、このままいけばスパイダーマンはマーベル・シネマティック・ユニバース(MCU)を離脱することになる。
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『アイアンマン』(2008)を皮切りに、マーベルコミックスを次々と映画化し、一つの世界観を共有する「MCU」として世界を席巻する大人気シリーズへと成長させたマーベル・スタジオだが、マーベルはかつて業績不振だった時期に「スパイダーマン」シリーズの映画化権をソニーに譲り渡していた。『シビル・ウォー/キャプテン・アメリカ』(2016)でスパイダーマンが待望のMCU入りを果たし、『アベンジャーズ』第3弾および第4弾にも登場したほか、ソニーとマーベル・スタジオが共同で『スパイダーマン:ホームカミング』(2017)と『スパイダーマン:ファー・フロム・ホーム』(2019)を製作できたのは、両社が2015年に画期的な提携契約を結んだからだった。
Deadlineによると、ここ数か月間、マーベル・スタジオの親会社であるディズニーと、ソニーのトップがスパイダーマン映画に関する契約更新について話し合っていたが、金銭面で交渉が決裂してしまったという。ディズニーは今後のスパイダーマン映画は50/50の共同出資にすることを希望したほか(収益も半々)、その契約はスパイダーマンユニバースの他の作品にも及びうるという話し合いをもったが、ソニーはこれを断固拒否。ソニーは自社最大のフランチャイズの半分をディズニーに渡すつもりはないし、ディズニーも現在の契約(マーベルがスパイダーマン映画の興行収入の約5%を受け取る)に甘んじるつもりはないということで、話し合いは暗礁に乗り上げてしまったのだそう。
史上最大のヒット作となった『アベンジャーズ/エンドゲーム』のその後を描き、MCUのフェーズ3を締めくくる作品として制作された『スパイダーマン:ファー・フロム・ホーム』はソニー史上最高の世界興収を上げており、MCUの利点を最大限に生かした結果といえる。そのためディズニーが今以上の配分を求めるのも当然なのかもしれないが、そもそもスパイダーマンの商品化権はマーベルにあってその利益も得ているため、ソニーとしては、ディズニーは多くを要求しすぎているという考えなのだという。
ソニーでは現在、トム・ホランド主演の『スパイダーマン』シリーズ第3弾と第4弾の企画が進められており、契約はまだだがジョン・ワッツ監督が続投する予定。ディズニーとソニーが妥協点を見つけないかぎり、これらの作品でケヴィン・ファイギが指揮を執ることはできない。ソニーはファイギが関与することの重要性を理解しながらも、トムとワッツ監督、ファイギと共に製作を務めたエイミー・パスカルもいてすでにシリーズの土台は出来上がっているため、提携なしでもやっていけると考えているとのこと。
ディズニーおよびマーベル、ソニーはこの件についてコメントしていない。(編集部・市川遥)