賀来賢人『ライオン・キング』吹き替えで大切にしたこと
俳優の賀来賢人がディズニー最新作『ライオン・キング』で映画の吹き替えに初挑戦。ディズニーの名作アニメーションを、実写もアニメーションも超えた超実写版としてよみがえらせた本作。主人公シンバ役を務めた賀来が、吹き替えで大切にしたことを語った。
「(本作に抜てきされて)素直にうれしかったですね。オーディションだったのですが、『ライオン・キング』という作品はもちろん知っていたし、世界中の誰もが知っている。個人的にもディズニー作品の中で一番好きな作品だったので、シンバ役に決まったときは本当に嬉しかったです」
アニメーション版や、劇団四季のミュージカルでも多くのファンがいる作品だけに大きな責任感があったというが、「(役づくりで)アニメーション版を何度も観させていただきましたが、僕はアニメーション版のシンバの声優の宮本(充)さんの声ではないですから、そこに寄せようと思っても難しいものがある。リスペクトしつつ、今回の『ライオン・キング』という形でやりました」と自分なりのシンバを作り上げた。
吹き替え版の監督からは「最初の『ハクナ・マタタ』は高いトーンから始めて、(シンバが)どんどん王になる覚悟ができてからのトーンをガラッと一気に変える見せ方をしたい」という指示があったそうで、「その切り替えを意識して、声で徐々に(シンバが)変化していく感じを表現できたらなと思ってやりました」と賀来。
「歌唱監督からは『ハクナ・マタタ』は王の息子として生まれた“坊ちゃん感”を出してほしい、だからそんなにカッコよく歌おうとせずに、パーって声をまっすぐ出してほしいと言われて。そのあとの『愛を感じて』はまたガラッと変わって、そのときの繊細な心情とか言葉を大切に歌ってほしいとお話がありました。何テイクも録ったのですが、すごくいい経験でしたね」
賀来は過去にミュージカル「RENT」で主演を務めた経験があり、同作で共演した中村倫也が『アラジン』で吹き替えを担当していたことも記憶に新しい。中村とは最近、自身の舞台を観に来てくれたときに話す機会があったといい、「もう倫也とも長いし、『アラジン』が発表になったとき、ちょうど僕は『ライオン・キング』のオーディションの結果待ちだったんです。(自分たちよりも)むしろ僕たち二人を知っている人が喜んでいました(笑)。二人が『アラジン』と『ライオン・キング』でうれしい、みたいな」と明かしていた。(取材・文:編集部・中山雄一朗)