草なぎ剛、『台風家族』お披露目に安堵
俳優の草なぎ剛が31日、スペースFS汐留で行われた映画『台風家族』初お披露目イベントに出席し、公開が危ぶまれた作品が、無事ファンの前でお披露目できたことに、安堵の表情を見せていた。イベントにはMEGUMI、甲田まひる、市井昌秀監督も登壇した。
本作は、『箱入り息子の恋』などの市井監督が、構想に12年をかけてオリジナル脚本で描いた家族の物語。銀行強盗を起こした両親の財産分与のために集まったきょうだいたちが巻き起こす騒動をブラックユーモアを交え描く。きょうだいの長男・小鉄を草なぎが、長女の麗奈をMEGUMIが演じた。
次男・京介役の新井浩文が今年2月に逮捕・起訴されたことにより、公開が延期されていたが、再編集を行うことなく3週間限定で劇場公開されることが今月発表された本作。草なぎは「本当に紆余曲折ありましたが、ようやく公開にたどり着くことができました」と安堵の表情を見せると「撮影した映画が公開されるのが普通に当たり前だと思っていたのですが、こういう事態が起きて、なにごともなく公開を迎える映画って幸せなんだなと思いました」としみじみ。
市井監督も「映画は観客の皆さんに届いて初めて完成だと思う」と語ると「今日を迎えられて嬉しい。映画自体はスタッフとキャストで作っていますが、作品を待っていてくださる方がいたからこそ、たどり着けた」と客席に向かって感謝を述べていた。
撮影は、昨年の猛暑のなか、栃木の日本家屋を中心に行われた。草なぎは「あまり撮影のエピソードで寒い、暑いというのは言いたくない」と前置きしつつも「それでも言いたくなるぐらい暑かった」と撮影を振り返ると「そんななか、とにかく市井監督がねばるんです」と苦笑い。特に草なぎ演じる小鉄の娘・ユズキ役の甲田の芝居には熱が入っていたようで、草なぎはあまりにも市井監督がテイクを重ねるため「監督に隠れてプロデューサーに『もういいんじゃないですか』と言ったぐらい」と裏話を披露。それでも市井監督のこだわりが功を奏したようで「出来上がった作品を観たら、監督が真摯に向き合った姿が、映像に出ていると思いました」と称えていた。
「いろいろデリケートな問題はあると思いますが」と口にした草なぎは「昨年の夏に僕たちが情熱を込めて撮影した思いが、なにか皆さんの心に触れてくれたら」と客席に呼びかけると、改めて「お蔵入りになることが一番悲しいことだったので、こうして公開できることが幸せです」と深々と頭を下げていた。(磯部正和)
映画『台風家族』は9月6日公開