浜辺美波、迷いは捨てる “振り切る”演技の原動力
端正なルックスながら振り切った演技で高い評価を受けている浜辺美波。アニメーション映画『HELLO WORLD』では声優に本格挑戦した浜辺が、これまでのキャリアを振り返って演技の原動力となっている経験を明かした。
浜辺美波がヒロイン役!『HELLO WORLD』予告【動画】
『ソードアート・オンライン』シリーズなどの伊藤智彦が監督を務めた新作アニメーション映画『HELLO WORLD』の舞台は、2027年の京都。引っ込み思案な男子高校生の直実(北村匠海)は、10年後の世界の自分(松坂桃李)と出会い、“未来の恋人”である瑠璃(浜辺)が事故で命を失ってしまうことを知る。そして直実は未来の自分と協力し、事故に遭う彼女の運命を変えようとするなかで、隠された秘密や未来の自分の真の目的を知ることになる。
これまで「ONE PIECE ワンピース ~ハートオブ ゴールド~」(2016)、「HUNGRY DAYS 魔女の宅急便」(2017)といった作品にボイスキャストとして参加してきた浜辺だが、自身の声は「声優には不向き」と思っていたそう。「声優さんが真っすぐ声をマイクに飛ばす感覚だとすると、私の声は掠れ気味というか届きにくい声をしているので、それは不安要素でした。いつもの女優業とはまったく違う演技の難しさがあって、反省することも多かったです」
憧れだったという伊藤監督からの指導もあり、ヒロインの役目を果たした浜辺。今回、声を吹き込んだ瑠璃は、主人公と対照的に筋の通ったところのあるクールなキャラクターで、自身とリンクするところも多かったという。「私の学生時代に似ていると思ったのは、不器用だけど、はっきりしているところです。私も何かを選ぶときに、まわりはあまり気にせず『これをする!』と、自分がいいと思うものに向かっていくタイプだったんです」と自己分析する。
そんな浜辺だが、実はデビューしたばかりの頃は「優柔不断な性格」だったという。「まわりから『不安な顔しているね』『楽しくないの?』と心配されることがよくあって。実際にはそうでなくても言われることも多くて、だったら不安なときでも一貫して真っすぐに、楽しそうにしたほうがいいと思ったんです。自分のなかで気持ちも固まるし、やりやすいんだと気がついたんです。強がりではなく、迷っているとそれが映像に出てしまったり、いろんな人に伝わったりするので、自分のなかで迷いや不安は早く捨てるようにしています」
最近でいえば、浜辺は『センセイ君主』『映画 賭ケグルイ』、ドラマ「ピュア!~一日アイドル署長の事件簿~」などでは、いわゆる“振り切った”演技で存在感を発揮してきた。作品ごとに違った顔を見せる、その変幻自在な演技は高い評価を集めている。
「演技が楽しいとはっきり感じたのは、映画『咲-Saki-』のとき。監督から厳しく指導していただきつつ、同い年ぐらいの女の子たちとワイワイ撮影をして、少しずつみんなで作品を作り上げる楽しさを学びました。『賭ケグルイ』が始まったときにも、まだ迷いはあったかもしれないのですが、共演者に少し上の年代の人が多かったので、撮影のなかで『こんな楽しみ方もあるんだよ』みたいな遊び方を教えてもらって学ばせていただきました。とくにシーズン2を撮るときは役も固まっていたので、どう遊んで演じるかということを考えてやっていましたね」
8月29日に19歳となる誕生日を迎えたばかりの浜辺だが、早くも2011年から女優としてキャリアを積み重ねてきた。芸能界へ飛び込んだときの気持ちをこう振り返る。
「上京することを決めたのは大きな決断でした。中高一貫の学校に通っていたのですが、高校から東京へ出ることを決意して、両親から離れることに迷いも不安もありました。そのなかでマネージャーさんはじめ、いろいろな人との良い出会いがあって、温かい声をかけてもらったので、何があっても大丈夫だろうって心強さはありました。ただ、当時の私は小学4年生くらいのときに飛行機で通っていたのですが、いま小学校6年生の弟が同じことをすると考えたら、不安で『やめとき!』と言うと思うので、なかなか冒険していたなと思います(笑)」
当時のことを笑顔で口にする浜辺の表情に、女優としての貫禄すら感じられる。今後、スクリーンやテレビでどのような姿を見せてくれるのか、期待しかない。(編集部・大内啓輔)
映画『HELLO WORLD』は9月20日より全国公開