『アベンジャーズ』ファルコン俳優、ドラッグでタイムトラベルする救急隊員役!
第44回トロント国際映画祭
第44回トロント国際映画祭で『アベンジャーズ』シリーズのファルコン役で知られるアンソニー・マッキーと『フィフティ・シェイズ・オブ・グレイ』シリーズのジェイミー・ドーナンが救急隊員コンビにふんしたSF映画『シンクロニック(原題) / Synchronic』がお披露目された。現地時間13日の上映にはジャスティン・ベンソンとアーロン・ムーアヘッドの監督コンビ(『キャビン・イン・ザ・ウッズ』『アルカディア』)が登壇し、制作の裏話を明かした。
『シンクロニック(原題)』は、ニューオーリンズの救急隊員で親友同士のスティーヴ(アンソニー)&デニス(ジェイミー)が、出動のたびに異様な死体を見つけるようになるところからスタート。現場にはいつも「シンクロニック」という名の合成麻薬が使用された痕跡があり、このドラッグを使ったデニスの娘も行方不明になってしまう……。
救急隊員として現場に踏み込むシーンはホラーさながらの気味の悪さだが、仲のいい二人の掛け合いはオフビートな笑いに満ちている。シンクロニックにタイムトラベルの力があると気付いたスティーヴが親友の娘を救うため、タイムトラベルを繰り返しながらその仕組みを解明していくSF映画である一方、喪失についての深いドラマもあったりと、いくつものジャンルが混ぜ合わされた独特な魅力の作品となっている。
アンソニー&ジェイミーという有名キャストが出演することになった経緯について、ベンソン監督は「前作『アルカディア』(2017)がアメリカで小規模公開された時、それを観たエージェントが『次の映画で手伝えることがあれば』と連絡をくれたんだ。有名な俳優を雇えるように頑張る、と」と説明。「僕たちは2012年から有名な俳優に脚本を読んでもらえるように挑戦してきたんだけど、全然ダメで。だけど押しの強いエージェントがジェイミーとアンソニーに脚本を読むよう強制してくれた。これは冗談じゃなくて、彼は本当にそういうタイプの男なんだ」と笑ってエージェントの功績をたたえた。
シンクロニックで戻る過去は危険に満ちているが、そのアイデアは『キャビン・イン・ザ・ウッズ』(2012)でトロント映画祭に参加した時に思い付いたのだという。ムーアヘッド監督は「上映時間まで時間を潰していたカフェで『バック・トゥ・ザ・フューチャー』が流れていて。流れていたら見入ってしまう、素晴らしい映画だよね。だけどその時、あの映画では過去がある意味美化されて描かれているけど、多くの人にとって過去はモンスターだし、ホラーだと思った。そこから始まったんだ」と振り返った。
そして、主演の二人に負けないほどの存在感を放っているのが、スティーヴ(アンソニー)の愛犬だ。何事にも動じる気配がないほど落ち着いた犬で、とにかくかわいい。ムーアヘッド監督は「トレーニングされているという犬の写真の中から選んだんだけど、あの犬は映画の通りすごくテンションが低い独特な犬なんだ(笑)。撮影1日目は家の周りを走るというシーンだったんだけど、すごくテンションの低い犬だから走らなかった(笑)。脚本ではとてもハッピーな犬で、アンソニーが戻ってきたら大喜びするみたいなのをイメージしていたけど、うまくいかないってわかったから、犬のシーンは“テンションが低い犬用”に全て書き直した。でもより面白くなったから良かったけどね」と笑っていた。(編集部・市川遥)
第44回トロント国際映画祭は現地時間15日まで開催