マルチに走り続けたい 三浦春馬の描く未来像
先日最終回を迎えた連続ドラマ「TWO WEEKS」に続いて主演映画『アイネクライネナハトムジーク』が公開された三浦春馬が、30歳を前に見据える、自らの俳優としての未来像とはなにか?
『アイネクライネナハトムジーク』で彼が演じるのはごく平凡な会社員の佐藤。ここ数年の三浦は、まさかの童貞役で抜群のコメディセンスを発揮した「オトナ高校」、青年の爽やかさだけではない一面をにじませる演技が秀逸だった『こんな夜更けにバナナかよ 愛しき実話』、歌と踊りで舞台俳優としての底力を見せつけたミュージカル「キンキーブーツ」と、連ドラに映画に舞台に、幅広い役柄を自在に演じているように見える。
演じる上での意識については「ベストで戦える状態に自分を持って行く、そんなメソッドを用いてベースをつくり、そのあとで撮影現場の空気を吸う。そうした自分なりのルールのようなものが見えてきたのかなと。以前に比べたら、ですけど」と謙遜しつつ、確かな変化を感じている。
それは言い換えれば「月並みな表現ですが、より客観的に自分のことが見えてきているのかもしれません。だからいろいろなことに取り組みやすくなっているし、興味が持てるようになったのだと思います。楽しいです」と、仕事へ前向きな心境であるのは確かなよう。
主題歌の担当は、ドラマ制作者からのオファーで
それは「TWO WEEKS」の主題歌を担当したことにも直接つながるように思えるが「自分では、やりたいとは思っていませんでした」と明かす。もともと2019年は「走り続ける!」と考えていたが、「主題歌も! と僕らから提示したのではなく、どう思いますか? とお話をいただいたカタチです。そこから自分のスキルを考え、努力したいという気持ちがもしドラマのプロモーションになるのなら、と思って」、今回のデビューへとつながった。
デビュー曲「Fight for your heart」を聴いて驚いた人は多いはず。演じているときは別人のように響くボーカリストとしての声、クオリティーの高いダンス--そこに俳優の片手間感はない。
この曲を聴いて「このサウンド面白いねとか、けっこうのれるね! などという評価をいただければ、普段ドラマを観ない方も気にしてくださり、観てみようと思っていただけるかもしれない。それが今回、CDを出したゆえんです」というが、それが信じられないほど、アーティストとしての三浦春馬の今後の展開が気になる。そこに水を向けると「どんなこともマルチにやっていけたら、と思います。どれも手を抜かないですし、一生懸命にやらせていだければと、思っているんですよね」と確信を持った表情で結んだ。(取材・文/浅見祥子)
映画『アイネクライネナハトムジーク』は公開中