山形国際ドキュメンタリー映画祭も台風19号の対応に追われる
10月12日~13日にかけて台風19号が日本各地で猛威を振るった中、第16回山形国際ドキュメンタリー映画祭が開催中の山形市も土砂災害、浸水、暴風などによる避難勧告並びに避難準備情報が出され、映画祭は上映やシンポジウムが中止になるなど対応に追われた。
10月12日夜は台風の接近に伴い午後6時以降の上映・イベントはすべて中止に。唯一、午前10時から上映開始していたインターナショナル・コンペティション部門作品のワン・ビン監督『死霊魂』(フランス・スイス)は上映時間8時間15分で、45分の休憩2回を挟んで終了予定時間は午後8時と残りあとわずかだったために途中で止めることをせずに続行した。しかし上映中、観客の携帯電話に一斉に緊急アラームが鳴り響き、場内が緊張に包まれる場面があった。
ワン・ビン監督は天気予報を鑑みて早めに来日を見送っていたが、山形新幹線が12日午後から14日午前中まで運休となったことで山形入りできないゲストが多数いたため、上映後のQ&Aやシンポジウムが取りやめに。一方で帰国できなくなるゲストもいた。そのため映画祭スタッフは宿泊や交通の変更など対応に追われたが、海外ゲストの中には「滞在が延びたことで山形を満喫したい」と逆にスタッフを気遣ってくれたという。
今回は気象庁をはじめ大型台風への警戒を各方面から繰り返し呼びかけていたこともあり、映画祭側も参加者もある程度の警戒をしながらの現地入りだったため大きな混乱には至らなかったようだ。中止になった上映も順次、振替上映のスケジュールが組まれた。
なお、福島県の阿武隈川の氾濫により本宮市にある105年の歴史を持つ本宮映画劇場も浸水被害を受けた。同劇場公式Facebookによると映写室と座席への被害は免れたが、泥かきなど復旧作業を行っているという。その他、今回被害を受けた地域は映画やドラマのロケなど映像産業に惜しみない協力を注いでくれている場所でもある。被害に遭われた方々にお見舞い申し上げるとともに、1日も早い復旧をお祈り致します。(取材・文:中山治美)