来日中のウィル・スミス、若きクリエイターに提言
来日中の米俳優ウィル・スミスが18日、東京・六本木の YouTube Space Tokyo にて行われた映画『ジェミニマン』(10月25日公開)公開記念トークセッションに出席し、若きクリエイターたちに“モノづくりにもっとも大切なもの”を熱く語った。イベントにはアン・リー監督、プロデューサーのジェリー・ブラッカイマー、人気YouTubeクリエイターのバイリンガールちかも出席した。
若いころの自身のクローンに命を狙われる暗殺者ヘンリー(ウィル)が、陰謀に巻き込まれていく姿を描いた本作。劇中では現在のウィルと23歳のウィルが、バイクアクションを含めた激しいバトルを繰り広げるが、ウィルは「ヤングウィルは100%デジタルで、わたしの顔ではないんですよ」と強調する。
イベントの前に行われた映像クリエイター大口孝之のトークショーでも、映像業界で言われている“不気味の谷現象”をまったく感じさせない驚きの映画であることが述べられたが、ウィルも「ここまで進歩するとちょっと怖い」と驚きつつも「リー監督が表現したことが、この先の映画の可能性や芸術を伸ばしていくものだと考えるとワクワクする」と笑顔を見せた。
映像技術の進歩が目覚ましく、表現の範囲が広がる中、ウィルは若いクリエイターの前で、一つの提言を残す。「作り手は、人々が望むものを作ろうという誘惑があります」と話し始めると「でも、それはとても危険な考えです。なによりも大切なことは、自分のなかから『どうしても伝えたい』と湧き出るものを作ること。もしかすると、それが人に気に入ってもらえないかもしれない。でもやり続けることが大切なんです」と熱いメッセージを送る。
ウィルの発言に、『パイレーツ・オブ・カリビアン』シリーズなどを製作したブラッカイマーも「この映画も構想からは15年かかっています。長い年月で人の好みは変わってくるものなので、いかに自分が愛するものを表現するかが大事になってくるんです」と同調していた。
また、ウィルは「どんな人と一緒に仕事をするのかはとても大切です」ともう一つのヒントをクリエイターたちに投げかけると「僕は大人になってからずっとアン・リー監督と仕事をしたかったのですが、その夢が叶いました。ジェリーとは『バッドボーイズ』以来、25年一緒に仕事をしています。大事なのはコラボレーションなんです」と訴えていた。(磯部正和)