津田寛治、全作出演オムニバスの撮影はどれも最高の経験!
18日、京都市で開催中の「京都国際映画祭2019」内でオムニバス映画『RUN!-3films-』が上映され、俳優の津田寛治、篠田諒、木ノ本嶺浩、松林慎司、黒岩司、土屋哲彦監督、畑井雄介監督が舞台挨拶に登壇。実力派俳優として知られる津田は、若手俳優たちとの撮影を「全部楽しかった! よその現場では味わえない雰囲気。お金儲けやビジネスで作った映画ではなくて、みんなの思いが詰まった映画なので本当に楽しかったです」と振り返った。
【動画】3つの短編がひとつに映画『RUN!-3films-』予告編
数々の映画祭で話題を呼んだ短編作品が連なって生まれたオムニバス映画。中学の同級生だったコンビニのバイト店員と強盗が、記憶のかけ違いによる丁々発止のやりとりを繰り広げる『追憶ダンス』、生きるために人間を食う親子と死体処理業者の出会いから始まるSFファンタジー『VANISH』、売れない役者が謎の映画撮影現場に足を踏み入れたことで現実と幻想の間を疾走する姿をエネルギッシュに描いた『ACTOR』という、3つの短編で構成されている。
その3本全てに出演した津田は、もっとも印象深かった役柄について「『追憶ダンス』で演じた警官役ですね」と。「映画の中で、警官の僕が強盗役の木ノ本くんの首を思いっきり締めるシーンがあったんです。後ろから必死に絞めていたら木ノ本くんがよっかかって来て。カットがかかった瞬間にバターン! って倒れて、白目向いてけいれんしだした。あの瞬間に映画が、いや、僕の俳優生命が終わるって思いました」と撮影中のハプニングを振り返った。その後、木ノ本はすぐに立ち上がって、撮影を再開したといい、「あの時は木ノ本くんが天使に見えました」と笑みを浮かべた。
同作を手掛けた土屋監督は、木ノ本と篠田の即興を生かす手法をとったといい、篠田は「まるでジャズのようでしたね」と述懐。木ノ本もまた「篠田くんがサイコパスの底辺をいく芝居をしていたのに対して、僕は、“気持ち悪い”の底辺をいこうと思って芝居をしていたので、すごく楽しかったですね」と振り返っていた。
一方、『ACTOR』で売れない俳優の主人公を演じた黒岩は、司会者に「売れない役がハマり役」と褒められ苦笑い。「あの役柄は、当時の自分のドキュメンタリー的な作品でもありますので、売れない感じと言われると嬉しいような、複雑な気持ちです。今も、みんなから湯河原の演歌歌手みたいだっていじられていたので……」と明かし、会場の笑いを誘っていた。
また、『VANISH』で人を食べずには生きていけない人間という難役に挑んだ松林は、畑井監督から勧められたSF映画『第9地区』(2009)を役づくりの参考にしたことを明かすなど、楽しそうに現場の様子を語る若手役者たち。そんな彼らを、津田は満面の笑みで眺めていた。(森田真帆)