「きのう何食べた?」続編放送、なぜこんなに早く?阿部チーフPが明かす
今年4月クールの連続ドラマに続き、スペシャルドラマの元日放送が14日に発表され、大きな反響を呼んでいる西島秀俊&内野聖陽主演の「きのう何食べた?」(テレビ東京系)。連ドラ終了から半年経たないうちに続編制作に至った経緯について、チーフプロデューサーの阿部真士が明かした。
「きのう何食べた?」は、「モーニング」で連載中のよしながふみの同名漫画に基づき、一つ屋根の下で暮らす恋人同士の弁護士・筧史朗(通称シロさん/西島)と美容師の矢吹賢二(通称ケンジ/内野)の悲喜こもごもを、「食」を軸に描く物語。今年4月クールに放送された連続ドラマ版は、原作者のよしながも感激した主演の西島、内野のキャスティングが話題に。6月から7月にかけて渋谷で行われた展覧会も盛況となり、ドラマ放送終了後は“何食べロス”が巻き起こった。
阿部チーフPは、連ドラ化成功の理由をあらためて以下のように振り返る。「原作のイラストに忠実に再現したポスターを作ったときにビジュアルのインパクトが凄くて、その時点で成功を確信しました。つまり、西島さんと内野さんのキャスティングが成功の要因としては大きかったと思います」。また、視聴者のターゲット層が予想外の広がりを見せたことも大きかったという。
「もともとドラマ24枠(※金曜24時12分~24時52分)は男性視聴者が圧倒的に多い枠でした。これまでも女性をターゲットにした作品を制作したことがあったのですが、あまりうまく行かなかった歴史があります。しかし、『何食べ』については圧倒的な数の女性から支持されました。これは、我々の予想をはるかに超えました。それと、会社の上層部の人たちが意外に多く観ていました(笑)」
続編となるSPドラマ版は、同じくテレビ東京系の人気グルメドラマ2番組と共に大晦日から正月にかけて放送される(「孤独のグルメ」12月31日放送、「きのう何食べた?」1月1日放送、「忘却のサチコ」1月2日放送)。連ドラ終了から半年空けないうちに実現する格好となったが、企画はいつ頃から動き始めたのか。
「正確な時期は言えませんが連続ドラマの放送が終わった後です。もちろんもう少し長いスパンで次の展開をいろいろと考えていた訳ですが、反響が予想以上に大きく、日に日に待望論が視聴者だけでなく、関係者や社内からも聞こえてきまして……。そんな折に、編成から年末年始を『グルメ』にまつわるドラマで固めたいという希望が出てきて、本格的に動いた感じです」
SPドラマの脚本は、連ドラに続いて安達奈緒子が担当。連ドラ版では原作の世界観を踏襲した、笑いあり涙ありの繊細なストーリーが視聴者の心をつかんでいたが、阿部チーフPいわく、原作者のよしながは安達に絶大な信頼を置いているという。「SPドラマ版制作にあたって、よしなが先生は『脚本は安達さん以外考えられない』という反応でした。台本をお読みいただき、とても楽しみにしてくださっています」
SPドラマ放送後の展開も気になるが、阿部チーフPに第2シーズン放送の可能性について尋ねると、「いつかはやりたいですね」と意欲を見せていた。(編集部・石井百合子)