イッセー尾形、主演映画のテーマにしみじみ
俳優のイッセー尾形が30日、都内で行われた主演映画『漫画誕生』(公開中)の初日舞台あいさつに登壇。放送中のNHK連続テレビ小説「スカーレット」で信楽焼の絵付け師・深野心仙を好演しているイッセーは、この日も“フカ先生”のようなユーモラスな姿を見せながら、主演作をアピールした。
本作は、長谷川町子や手塚治虫に影響を与えたとされる漫画家・北沢楽天の伝記ドラマ。漫画家としての社会的地位を確立した楽天(イッセー)が、時代の波に翻弄(ほんろう)される姿を描く。
17名のスタッフ・キャストが登壇するイベントということもあり、進行がスムーズにいかず、司会者に呼ばれる前に入り口からチラッと顔をのぞかせ、「全然聞こえない。まだいいの?」などと質問するイッセー。大御所とは思えないラフな姿に、会場は笑いに包まれた。その後、全員が登壇すると、イッセーは「僕は今67(歳)ですが、この映画は70(歳)の時に撮った作品です」と冗談で沸かせつつ、「人生は長いですね。自由に生まれて、自由に育って、自由に死んでいけば一番いいんですけど、そうはならない見本のような映画です」と紹介した。
さらに、14名の共演者を見渡し、「僕が知っているこの映画は、(篠原)ともえさんとのシーンと、検閲官役の稲荷(卓央)さんとの陰険なやりとりだけなんですね」とぶっちゃけ。一方で、台本を読んだだけでは想像ができなかったという本作について、「深い普遍的なテーマを扱っているんだな」としみじみと語っていた。
楽天の妻・いの役の篠原ともえは、「イッセーさんはひょうひょうとしているんですけど、どこかとってもアーティスティック」と、約2年前の現場での様子を伝えると、「最近は……」と、“フカ先生”についても言及。イッセーには「後で話そう」と笑顔で制止されるが、篠原は「わたしも絵が大好きでデザインの仕事にもトライしてきたので、こういう役に活かせるかな? と思って一生懸命演じました」と絵つながりのトークを展開。また、「わたしにとって、アーティストに寄り添って生きる妻という、普遍の愛を演じることは貴重でうれしい時間でした」と充実した表情を見せていた。
この日は、イッセー、篠原、稲荷卓央のほか、モロ師岡、吉岡睦雄、芹澤興人、中村無何有、秋月三佳、嶺豪一、瓜生真之助、福永マリカ、祁答院雄貴、江刺家信雄、安藤瑠一、木下愛華、あらい太朗(発案)、大木萠監督も来場し、公開初日を喜んだ。(取材:錦怜那)