ゲイ役に挑戦した藤原季節、宮沢氷魚に感謝する理由は?
『愛がなんだ』『アイネクライネナハトムジーク』と公開作の相次ぐ今泉力哉監督による映画『his』(1月24日公開)でゲイ役に挑んだ藤原季節。相手役について「スゴイんですよ、宮沢氷魚は」と全面的に感謝する理由を語った。
今泉監督が手掛ける本作は、周囲の理解を得るために、同性カップルが奔走する姿を描くヒューマンドラマ。藤原演じる日比野渚は、離婚調停中ながら、自分から別れを告げた元カレである井川迅(宮沢)を訪ねる。
渚は、異性と結婚して子どもにまで恵まれるも、かつての恋人を忘れられない男で「まだ離婚が成立してないのに他の男性と浮気をするわけで、渚自身、許されないことをしているのはわかってるんですよ。でも自分はマイノリティーで、人から当たり前に扱われないと悩みながらも自分を特殊な人間だと思っている。だから当たり前の人なら許されない行為をつぎつぎしてしまうことに自己嫌悪があったはずなんです」と藤原は役柄を分析する。そんな渚を理解しようとするあまり役の感情にのめり込み、「これはヤバい……という状態にまでなってしまった」と明かす。
そんなとき、宮沢の存在が大きかったようで「撮影中は一緒の部屋に泊まっていたのですが、僕が寝るまで氷魚君が起きていてくれて。僕が寝ると、布団がかかっていたりするんです。スゴイですよね(笑)? そんな彼の精神性が、そのまま迅という役にのっているんです」とまるで劇中の二人の関係そのままだったと振り返る。
その相性の良さは出会った当初からだったようで「初めて氷魚君にあいさつをして、『藤原季節と申します。よろしくお願いします』と握手した瞬間に、あ……いける! と思ったんです。優しいと言ったら安易ですけど、なにか……受け止めてくれる人だなと思って。それは不思議な体験でした」と、特別ななにかを感じさせる出会いだったよう。
この映画はそんなふたりが愛し合うまさに恋愛映画なのだが、特殊な恋のカタチを描くというより、さまざまな事情を抱えた人間たちの、まさに味わい深い人間ドラマに仕上がっている。(取材・文/浅見祥子)