カズ・ヒロ(辻一弘)、アカデミー賞ノミネート!シャーリーズ・セロン激変メイクで2度目の受賞なるか
第92回アカデミー賞
第92回アカデミー賞のノミネーションが1月13日に発表され、映画『ウィンストン・チャーチル/ヒトラーから世界を救った男』(2017)で第90回アカデミー賞メイク・ヘアスタイリング賞に輝いたカズ・ヒロ(旧:辻一弘)が同賞において4度目のノミネート入りを果たした。対象となったのは、2016年にアメリカのテレビ局FOXニュースで行われたセクシュアルハラスメントの実話に基づく『スキャンダル』(2月21日公開)で、カズは実在の元FOXキャスターにふんしたシャーリーズ・セロン、ニコール・キッドマンらの特殊メイクを担当。アン・モーガン、ヴィヴィアン・メイカーと共にノミネート入りとなった。2月10日に開催されるアカデミー賞授賞式で、2度目のオスカー受賞となるか、注目される。
『スキャンダル』は、局から一方的に解雇されたFOXニュースのベテランキャスター、グレッチェン・カールソンが、CEOのロジャー・エイルズをセクハラで訴えた顛末を描く物語。グレッチェンに『めぐりあう時間たち』(2002)でアカデミー賞主演女優賞を受賞したニコール・キッドマン、エイルズに『レイジング・ケイン』(1992)、『クリフハンガー』(1993)などの悪役で知られるジョン・リスゴー。とりわけ、『モンスター』(2003)で10キロ超の増量を経て連続殺人犯にふんし、オスカーに輝いたシャーリーズが『スキャンダル』のFOXキャスター、メーガン・ケリー役でもまた驚くような変貌を見せている。シャーリーズも本作で3度目の主演女優賞候補となった。
シャーリーズはカズが手掛けた特殊メイクについて「ブロンド女性はみんな同じだっていう誤解があるけど、実際にはとても違っている。カズ・ヒロがとても長い時間をかけてそれぞれのパーツのデザインをしてくれた。顔全面にマスクをつけていると思っている人がいるかもしれないけど、実はとても小さなパーツで出来ているの。これこそ彼の才能のなせる技で、顔の細部を変えるだけで全体の印象を大きく変えてしまう」と高く評価。「彼のメイクによって、わたしの動作や話し方まで変わってくるの」と演技への影響も明かしている。
カズは、京都に生まれ育ち、学生時代に『ゴッドファーザー』『エクソシスト』などで知られるメイクアップアーティスト、ディック・スミスに師事し、ヘアメイクを独学で学んだ。1996年に渡米してからは『グリンチ』(2000)、『メン・イン・ブラック2』(2002)など数多くのハリウッド作品を手掛け、『もしも昨日が選べたら』(2006)、『マッド・ファット・ワイフ』(2007)でアカデミー賞メイク・ヘアスタイリング賞に2年連続ノミネート。『ウィンストン・チャーチル/ヒトラーから世界を救った男』ではゲイリー・オールドマンを英国首相ウィンストン・チャーチルに変身させ、メイク・ヘアスタイリング部門で日本人として初のオスカー受賞を果たしたのみならず、ゲイリー本人も初のオスカーを受賞。ゲイリーが、長らく活動の場を現代美術の分野にシフトしていたカズを再び映画界に引き戻したエピソードも知られている。
なお、2019年3月には米国市民権を獲得し、「辻一弘」から「カズ・ヒロ(Kazu Hiro)」に改名した。(編集部・石井百合子)
第92回アカデミー賞授賞式は、2月10日(月)午前8時30分よりWOWOWプライムにて生中継