制作期間7年!元「ゆらゆら帝国」坂本慎太郎、岡村靖幸らが声優で参加したアニメ映画『音楽』ついに初日
映像化不可能と言われた大橋裕之の自費出版漫画を長編アニメーション化した映画『音楽』の初日舞台あいさつが11日に都内で行われ、ボイスキャストの駒井蓮、前野朋哉、芹澤興人、平岩紙、岩井澤健治監督、原作の大橋らが登壇し、7年以上かけて制作した映画の初日に感激の表情を見せた。
楽器に触れたことがない不良たちがバンドを結成し、町内のロックフェスティバルへの出演を目指す姿を描いた本作。制作期間7年以上、作画枚数は4万枚超で全て手描きだ。クライマックスの野外フェスシーンをダイナミックに再現するため、実際にステージを組んでミュージシャンや観客を動員してのライブを行い、その実写映像をアニメにトレースするというユニークな方法で作られている。そんな本作は大きな反響を呼び、オタワ国際アニメーション映画祭では、長編コンペティション部門で見事グランプリを獲得した。
この執念の作品を完成させた岩井澤監督は、満席の場内を見渡し「感無量ですね」としみじみ。原作者の大橋も7年以上という制作期間の末の公開に晴れやかな表情で、「監督とは近所に住んでいたので、スーパーでたまに会ったりして。岩井澤くんも長い間でしんどかったと思う。時にはコンビニでビールを買って、話し合ったこともありましたね」と述懐。「完成して、大きな画面で観た時は、すごいものが出来たなと思いました。原作よりもこっちの方が本物みたいな感じがしました」と監督をたたえた。
主人公・研二の声を元「ゆらゆら帝国」の坂本慎太郎が担当したのをはじめ、竹中直人、岡村靖幸などユニークなボイスキャストも本作の魅力の一つだ。前野が「坂本さんは完璧でした。リップが完全に合っていて。かなり練習されたのか、計算された感じがあって。ほぼミスもなかったんじゃないですかね」と明かすと、「(収録中に)沈黙があった時は、坂本さん、セリフを忘れたのかなと思ったのですが、(セリフを言うべき)タイムをしっかりと覚えていて。あれはすごかった、感動してしまいました。坂本さんが動じないというか、バンドとしてリーダーでドーンといてくれたので、僕らは研二に付いていくだけでした」と感銘を受けた様子だった。
さらに研二たちの音楽仲間・森田を演じた女優の平岩は、男子高校生役のオファーに「すごくうれしくて。役者っていろんなイメージを持たれていると思うんですけど、そんな中で自分に男子高校生の役を当ててくれたのが震えるくらいにうれしくて。舞い上がっていましたね」と笑顔を見せた。(取材・文:壬生智裕)
映画『音楽』は公開中