山田裕貴の素顔とは?つねに渦巻く“好奇心”
今月23日より放送開始のドラマ特区「ホームルーム」(MBSほか)で、裏表のある変態ストーカー教師・愛田凛太郎役に挑む俳優の山田裕貴。新境地ともいえる本作への思いとともに、自身のなかにある“二面性”について赤裸々に語った。
「キモい!」と思われたら逆に本望
本ドラマは、講談社のウェブコミック配信サイト「コミックDAYS」で売り上げNo.1を誇る同名漫画を実写化した学園サイコ・ラブコメディー。“ラブリン”の愛称で親しまれているイケメン高校教師・愛田が、好意を寄せる女子生徒・桜井幸子(秋田汐梨)に過激なイタズラを仕掛けながら、「先生がお前を守る」と自ら優しく手を差し伸べる歪んだ愛をセンセーショナルに描く。
今回、山田が演じる愛田は、桜井のことが好きすぎてイタズラと救出劇を自作自演で繰り返す特異なキャラクター。“賭け”と言っても過言ではない役に挑戦することになった経緯について、山田はこう振り返る。
「僕の場合、明るい役でも、悪い役でも、恋に破れて悩む役でも、割とわかりやすい人間を演じることが多いんですよね。特に『なつぞら』(NHK連続テレビ小説)で演じた雪次郎は、僕のキャラクターも相まって一本気なイメージをさらに加速させてしまったので、『ここらで一発、つかみどころのない屈折した役をやりたい』と思っていたんです。そんな矢先にMBSさんから声を掛けていただいた。うれしくて、すぐに飛びつきました(笑)』
現在放送中の「SEDAI WARS(セダイウォーズ)」と本ドラマの2作同時で、MBSドラマの主演を務める。前者ではゆとり世代の無気力男、そして間髪入れずに変態教師を演じることになるわけだが、この果敢な挑戦によってまた新たな“山田裕貴”が生まれる予感がする。
「最初は『僕のことを嫌いにならないかな?』とちょっぴり不安だったのですが、演じてみると、そういう心配はなくなりました。それはラブリンに愛を感じたからだと思います。最初は『キモい!』と思われても逆に本望。確かに変態的な行動が多いですからね(笑)。ただ、これは監督とも話したんですが、彼は親から激しい虐待を受けて育ってきた背景があると思うので、歪んだ愛の裏にあるドラマもぜひ観てほしい」とアピールした。
山田裕貴の裏の顔「いい意味で計算高い」
「役者をやれないなら死んだほうがまし」と言い切るほど演じることを愛し、妥協を許さぬ一本気な性格から、「まっすぐな男」というイメージを山田に持つ人も多いが、「実は僕、意外と計算高いんですよ」と笑顔を見せる。その意味を追及すると、「人を観察するのが大好きなので、撮影などで長く関わっていくと、その人の声色だったり、一瞬の表情だったりで、何を考えているのか、何を求めているのかがわかるようになってくる。それをうまく活用して、相手を気遣う一言を言ってみたり、裏でいろいろ動いたり……あくまでもコミュニケーションを円滑にするために、あえて計算高く振舞うことがある」と明かす。
撮影現場で共演者やスタッフから“ムードメーカー”として人望を集めているのも、いい意味での計算高さがチームを一つにまとめ上げている証しなのではないだろうか。さらにその延長線として、観察好きの山田の頭のなかは「なんで?」という疑問符が次から次へと湧き出てくるのだとか。
「例えば、『なんでこの役はこうなっちゃうの?』とか、『なんでこういう言葉を言っちゃうの?』とか、『なんで俳優やっているの?』とか、人やモノに対しての好奇心がつねに頭のなかを渦巻いている。だから、必然的に人とのコミュニケーションが増えるのかも。決して天真爛漫に明るいわけではないんです」と自己分析してみせた。
一人の女子生徒を愛するがゆえに、どんどん行動が狂気化していく変態教師・愛田。一見、裏の顔、表の顔を使い分けているようだが、愛田のなかにあるのは「一途な愛」だけなのかもしれない。残念ながら、歪んだ形でその愛はとんでもない方向へ行ってしまうが、人間はさまざまな要因によって、化けていく生き物。「意外な一面は? と聞かれて、答えはしましたが、考えているうちにいろんな面があれこれ出てきて、自分がだんだんわからなくなってきた」という山田……言い換えれば、人間は意外な一面の集合体? 山田が行き着いた答えこそ、人間の真理かもしれない。(取材・文:坂田正樹)
ドラマ特区「ホームルーム」はMBSにて1月23日より毎週木曜深夜0時59分~、
テレビ神奈川にて1月23日より毎週木曜23時~、
チバテレにて1月24日より毎週金曜深夜0時~、
テレ玉にて1月29日より毎週水曜深夜0時~放送ほか