坂口健太郎&永野芽郁、ハードな撮影も乗り越える信頼感!『仮面病棟』撮影現場レポート
映画『仮面病棟』の撮影現場が昨年10月に報道陣に公開された。密室の病院からの脱出劇を描く本作で、久々の本格共演を果たした坂口健太郎と永野芽郁が思いを語った。
ドラマ「いつかこの恋を思い出してきっと泣いてしまう」(2016)でもキャストとして名を連ねたが、本格的な共演は『俺物語!!』(2015)以来となる坂口と永野。再共演となった『仮面病棟』では、現役医師で作家の知念実希人による同名小説をもとに、ピエロの仮面をした凶悪犯が籠城した元精神科病院から脱出を試みる人々の姿が描かれる。坂口は一日だけの当直医として病院に居合わせた医師・速水、永野は傷を負った女子大生・瞳を演じる。
少女コミックを実写化した『俺物語!!』の明るいトーンから一転、病院を舞台としたシリアスな作風の本格ミステリーに挑んだ二人。原作や台本を読み、撮影前には「ハードな撮影になりそう」と覚悟もあったという。坂口は「密室空間が舞台で、二人のシーンでは笑う演技もまったくなく、張り詰めた環境のなかで撮ることになりそうだなと……」と当初の思いを明かす。
一方で、この二人だからこその安心感もあったそう。「(永野とは)今回が初めましてではないし、『俺物語!!』の後もときどき食事に行ったりもしていたので、助けられることが多かった」と坂口は笑顔を見せる。対する永野も坂口のことを「けん兄(にぃ)」と慕いつつ「大変な撮影になるだろうなと思っていたので、坂口さんがいてくれて安心感があり、楽しみもありました」と絶大の信頼を寄せる。
とはいえ、撮影のほとんどは病院という閉鎖された空間。撮影の直前まで実際に総合病院として使われていた施設を利用し、そのなかに設定に合わせた鉄格子などの設備を据え付けるなど、リアルな“仮面病棟”が作り出された。この日の撮影が行われたのも、速水が病院内に隠された“ある秘密”に迫っていく、緊迫感のある重要な場面。坂口は「セットも暗くライティングし、病院という閉じ込められた環境はリアルでした。病院での一夜の出来事なので怖い印象もあり、不気味さが出ていました」という。
そんな空気感のなかで「ずっと撮っているのは大変だった」と語る坂口だが、「物語上では速水や瞳は同じことを感じているはずなので、リアルな作りの病院で撮れたことでリアリティーを持たせることができました。完成した絵としてもいい効果が出ているだろうなと思いつつ、謎をちりばめながら進んでいくので台本を読んだときにわからない部分も、現場に入ったことで合点がいくこともありました」と充実の撮影を振り返る。
ほかにも苦労するところが。永野は「一か月近くずっと撮影するので慣れてくるのですが、一夜の物語なのでシーンごとに新鮮な気持ちで臨まないと、時間の流れ方やリアクションなどがリアルでなくなるので、慣れが出ないように新鮮さをキープするのを意識しました」と語る。
物語では医師の速水が傷を負った瞳を介抱し、ピエロの目を逃れつつ病院に隠された秘密へと近づいていくことになる。一見、速水はヒロイックな主人公に見えるが、坂口いわく「実は彼の選択は病院全体のためというよりも瞳個人のため。どのタイミングで瞳を思い始めたのか? 事故で亡くした恋人と重ね合わせたからだろうか? と頭のなかで考えながら演じました。急激に変化するのが怖かったので、きっかけがあって変わっていくように、彼が虚無から立ち上がるための理由をもとに行動を肉付けして、芝居のなかで生まれたものを大事にしたんです」とのこと。
その速水と行動をともにする瞳について、永野は「瞳は何を考えているかわからない子なので、起こったことに素直に反応しつつも心のなかはわからない。でも、それは普通の生活しているときに誰もが持っている二面性みたいなものですよね。ただ謎解きの要素もあるので、このときの気持ちはこう、この表情はここに繋がっていると計算しながら頭を使うのは、これまでとは違うアプローチだった気がします」と語る。
坂口は「瞳の役柄は難しい部分もあるので、お芝居とは違う演技が必要だと思います。速水は起こっていることに反応すればいいので、瞳を演じるほうが難しかったと思います」と永野を絶賛。『俺物語!!』のときから「いい意味でぜんぜん変わっていないけど、大人になったなと思いました」という坂口に対して、永野は「5センチくらい背が伸びました。3センチかな……?」と笑みを浮かべ、仲の良さを見せていた。(編集部・大内啓輔)
映画『仮面病棟』は3月6日より全国公開