「麒麟がくる」岡村隆史の表現の幅広さ、演出・藤並英樹が語る 初大河で神出鬼没の農民を好演
大河ドラマ「麒麟がくる」(NHK総合・毎週日曜20時~ほか)第4回放送の前に、制作統括の落合将および演出の藤並英樹が囲み取材に応じ、大河初出演で農民役として出演している岡村隆史の魅力に触れた。第四回の演出を務めた藤並は岡村について「すごく真面目な方」「身体能力も高く、深刻な面と無邪気な面の表現の幅も広い」と述べている。
第四回のタイトルは「尾張潜入指令」。今川との戦いで尾張の織田信秀(高橋克典)が瀕死の重傷を負ったという知らせを受けた、美濃の守護代・斎藤道三(本木雅弘)は、妻の治療を終え尾張へ向かうという望月東庵(堺正章)に、信秀の容体を探るよう指令。その目付け役に明智光秀(長谷川博己)を任命し、光秀は東庵、菊丸(岡村)と共に尾張・古渡城に潜入する。
岡村演じる菊丸は、三河(愛知)出身の農民。光秀と菊丸の出会いは、第一回で光秀が、野盗にとらわれていたところを助けたのがきっかけ。神出鬼没で、第三回でも光秀とばったり遭遇。駒に見とれている様子もあった。
第四回では、その菊丸が各地で薬草を売り歩き尾張の内情にも詳しいということで、光秀の道先案内人として抜擢。光秀との道中では、芸人・岡村らしいコミカルな会話のやり取りも披露する。
第四回の演出を務めた藤並は岡村に対して「すごく真面目な方で、台本も真摯に読み込んでいる印象でした。最初はかなり緊張されていたのですが、徐々にもともとお持ちの明るさを出していただけました」と印象を述べると「リハーサルで、三河の真面目で朴訥な農民をうまく演じてくださいました。芝居を重ねるうちに、ご自身の中でキャラクターが固まっていったようです。身体能力も高く、深刻な面と無邪気な面の表現の幅も広い」と役者としての引き出しの多さを指摘する。
菊丸は史実にいない創作上のキャラクターだ。脚本家の池端俊策からは「コメディー的な人がいい」という希望を聞いていた落合は、演出の大原拓と話し合うなかで岡村の名前が挙がった。最初は「ダメもと」でお願いしたというが、岡村は快諾。菊丸に対するイメージも広がったという。
また放送がスタートしてから大きな反響を呼んでいるのが、本木演じる道三の存在感だ。藤並は「激しい現場ではありますが、淡々と粛々と俳優の皆さんはやっています。そんな中でも、やはり本木さんのお芝居の求心力はすごい。非常に大きな軸になっていただいています」と称賛する。
一方、ここまでの光秀のキャラクターについては「十回ぐらいまでは光秀は20~21歳ぐらいの年齢設定が続きます。ある意味で明智光秀というよりは、十兵衛という位置づけ。まだ“何者でもない”という青臭さを感じてもらえると思う」と落合は語る。この言葉通り、四回では菊丸との会話や、東庵の助手・駒(門脇麦)とのやり取りなど、光秀という人物を表すうえで非常に印象的なシーンが多く登場する。
落合いわく、ある意味で一つの区切りともなる第四回は、今後につながるさまざまな伏線が張り巡らされた重要な回といえるだろう。(取材・文:磯部正和)