円谷プロ、ウルトラマン海外利用権めぐる米国訴訟で勝訴確定
株式会社円谷プロダクション(以下、円谷プロ)は10日、「ウルトラマン」シリーズの日本国外利用権をめぐる、ユーエム株式会社とのアメリカにおける訴訟に関して、勝訴判決が確定したことを書面で発表した。
ユーエム社は、1976年に当時の円谷プロ代表者であった円谷皐(のぼる)氏が署名した契約書が存在し、この書面に基づく「ウルトラマン」シリーズの日本を除く全世界での利用権を、タイ人実業家のサンゲンチャイ・ソンポテ氏から承継したと主張。2015年5月18日付けで、円谷プロに対して、同権利の帰属確認と損害賠償の支払いを求めて、カリフォルニア中央区地方裁判所に提訴。円谷プロも、同年9月11日付けで、ユーエム社及び同社ライセンシーらに対し、権利帰属及び損害賠償請求の反訴を提起していた。
第一審では、この「1976年書面」が真正に作成されたものではないという、円谷プロの主張を全面的に認める判決が下され、日本国外でも「ウルトラマン」キャラクターに基づく作品や商品を展開する一切の権利を有することが確認された。また、権利侵害に対する損害賠償や弁護士費用の請求も認められたという。
その後、ユーエム社は一審判決を不服として控訴したが、控訴裁判所も一審判決及び陪審員の評決を全面的に認め、円谷プロが勝訴。2020年3月4日の期限までに上告がなされなかったことから、勝訴判決が確定した。この判決によって、ユーエム社は、権利侵害に対する損害賠償や訴訟費用について、約400万ドル(約4億円)に及ぶ弁済が命じられているといい、円谷プロは「当社はユーエム株式会社らに責任ある対応を求めて参ります」としている。
円谷プロは、2018年に米スターライト・ランナー・エンターテインメント並びにライセンシング・グループと、「ウルトラマン」の世界的な展開強化に関するパートナーシップ契約を締結。今年後半には、マーベル・エンターテイメントとコラボレーションしたコミック「THE RISE OF ULTRAMAN」の米出版を控えている。
勝訴に伴い、円谷プロでは「本件訴訟における確定判決は、長い時間と膨大な労力をかけた精緻な証拠開示手続きに加え、各当事者の主張を補完する多数の証人の証言、筆跡鑑定の専門家の鑑定意見等を経て出された結果であり、極めて高い信頼性と真実性が伴ったものであります。この判決を踏まえ、現在進めているウルトラマン作品の積極的な海外展開をより一層強化し加速させていく所存でございます」とコメントを発表している。(編集部・入倉功一)