『AKIRA』の衝撃再び 4Kリマスター版IMAX上映で究極体験
大友克洋が監督した映画『AKIRA』(1988)4Kリマスター・IMAX版の4月3日公開に先駆けて、18日に東京・TOHOシネマズ日比谷で関係者向けのテスト上映を実施。新たに蘇った美しい映像と、臨場感あふれるサウンドが観客を圧倒した。
『AKIRA』は、第3次世界大戦による新型爆弾投下から復興しつつある、2019年のネオ東京を舞台に、謎の軍事機密「アキラ」をめぐる争いに巻き込まれる不良少年たちを描いた作品。大友が、製作期間3年、総制作費10億円をかけて自身のコミックを映画化。使用セル画15万枚にも及ぶ緻密なアニメーションや、破壊と復興が同居する近未来のビジュアルは、熱狂的なファンを生み続けている。
今回の4Kリマスター版は、35mmマスターポジフィルムを4Kスキャン&4Kリマスターが施された、まさに『AKIRA』の決定版。フィルムの質感はそのままに、過去のソフト化と比べても格段に美しく修復された映像を大スクリーンで体感すると、冒頭のバイクシーンから、そびえ立つビル群に覆われたような錯覚を覚える。まさにバイクでネオ東京を駆け抜ける金田たちの視点で、IMAXならではの臨場感が味わえる。
また、大スクリーンのおかげで、金田や鉄雄といったメインキャラクターはもちろん、崩壊する都市の下で逃げ惑う群衆など、数十人におよぶモブキャラクターたちにいたるまで、実に細やかに動いていることが、あらためて見て取れる。本作の見どころのひとつでもある大破壊シーンの緻密さには唖然とするしかない。
そして、何より圧倒されるのが音響面での迫力だ。今回の4Kリマスターでは、音楽監督・山城祥二のもとで5.1ch音源のリミックスを実施。座席に押し付けられるような感覚を覚える轟音から、細やかな旋律まで、最新のサウンドシステムを得た音響は、当時の音響設備では絶対に味わえなかったであろう広がりで劇場を包み込み、『AKIRA』世界への没入を手助けする。初公開から約30年を経てたどり着いた『AKIRA』体験。当時の興奮を味わった幸運な観客はもちろん、テレビでしか『AKIRA』を体験できなかった世代にとっても、まるで封切りを観るような感動が味わえるはずだ。(編集部・入倉功一)
映画『AKIRA』4Kリマスター版は4月3日より全国36の劇場でIMAX上映