「エール」裕一の弟役!確かな演技力で魅せる佐久本宝に注目
NHKの連続テレビ小説「エール」(月~土、総合・午前8時~ほか)で古山裕一(窪田正孝)の弟、浩二役を務めている佐久本宝。裕一への複雑な思いを抱える浩二を確かな演技力で表現する佐久本に改めて注目したい。
連続テレビ小説102作目となる「エール」は、作曲家の裕一と音(二階堂ふみ)の夫婦が、昭和の激動の時代を音楽とともに生きる姿を描く物語。佐久本ふんする浩二は裕一の弟で、責任感が強く、父の三郎の後を継ぎ「喜多一」の5代目店主となった。
音楽の道を選んだ裕一とは対照的な性格の浩二は、反発を隠せない。夢を追うべきか悩む裕一に、家族の幸せを一番に考えるよう強く訴えて「兄さんが嫌い」と罵りの言葉を口にしてしまう。第11週では、裕一が久しぶりに福島へ帰郷することになったが、喜多一は経営を立て直せず閉店したことが明らかになった。
兄弟ながら裕一とは大きく異なる人生を歩み、人間らしい心の暗い部分を抱える浩二の存在が物語に深みを与えている。その浩二を説得力のある演技で体現しているのが、今回が連続テレビ小説初出演となった佐久本だ。
1998年生まれの佐久本が大きな注目を浴びることになったのが、応募総数1,200人ものオーディションを経て抜てきされた映画『怒り』(2016)での演技。渡辺謙、森山未來、松山ケンイチ、綾野剛、広瀬すずといった錚々たる面々が出演した同作で、第40回日本アカデミー賞新人俳優賞を受賞するなど、存在感を発揮した。
2019年放送のドラマ「3年A組 -今から皆さんは、人質です-」では、同世代の人気キャストたちと共演し、喧嘩っ早いクラスの問題児を演じたことも話題に。ほかにも『あの頃、君を追いかけた』(2018)、『惡の華』(2019)などの話題作に出演している。
「エール」では、故郷を飛び出したきりだった裕一は家族や友人たちと再会し、旧交を温めることに。作曲家として成功の道を歩むなか、故郷に残してきた難題と向き合うことになる。果たして浩二との関係を修復できるのか。佐久本の熱演とともに目が離せない。(編集部・大内啓輔)